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日本、韓国の加盟に反対するか…「CPTPP」をめぐる4つの疑問(2)

登録:2021-12-15 02:27 修正:2021-12-15 07:25
1. 米国は国内政治日程のため復帰を延期したのか 
2. 中国は本気で加盟を望んでいるのか 
3. 日本は韓国の加盟に反対するか 
4. 韓国は米中の板挟みになるか
米国のジョー・バイデン大統領が昨年9月15日(現地時間)ホワイトハウスで、米国、英国、オーストラリアの新たな機密情報共有の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設を知らせる記者会見を英豪首脳がオンラインで見守る中で行っている/EPA・聯合ニュース

(1より続き)

中国は本気で加盟を望んでいるのか

 中国がCPTPPの加盟申請を行うと電撃発表したのは、今年9月16日の夜だった。 振り返ってみれば非常に折りあしき日だった。米国、英国、オーストラリアが9月15日(現地時間)、AUKUS(オーカス)の発足に合意した直後だったからだ。AUKUSは中国を牽制するために先端防衛技術を共有する「3カ国安全保障パートナーシップ」と言える。

 中国の当時の動きは、反射的に国際政治的脈絡で行われているものとして捉えられていた。中国に続き、台湾がただちに協定への加盟を申請したことも、これとの関係で解釈しなければならない。このような微妙な状況は、CPTPPの高い開放度、独特の意思決定方式とあいまって、「中国は本気で協定への加盟を望んでいるのか」という疑念を抱かせた。

 CPTPPは地域的な包括的経済連携(RCEP)に匹敵する巨大な規模で、関税撤廃率96%と、開放度でも最高レベルという評価を受けている。政府補助金や電子商取引、労働、人権分野でも厳しい条件をつけている。中国には満たせない条件かもしれない。11カ国のうち1国でも反対すれば加盟できないよう構造になっているうえ、日本は中国の加盟申請をあまり歓迎していない。オーストラリアと中国が険悪な関係であることも、加盟のハードルを高めている。

 中国の思惑はまだ明らかになっていないが、CPTPPが掲げた条件を中国が満たせないとは言い切れないという見解もある。西側陣営側にとっては立ち遅れていると思われる政治体制が、この条件を満たすにはむしろ有利な条件になりうるからだ。党が決定すればついていく構造であるため、既存の加盟国の要求により速く対応できる。加盟国のうち、マレーシアやシンガポールは中国の参加を歓迎する態度を示していることも、中国にとっては好条件と言える。米国が手を引いたことも、中国にとっては魅力を感じる要素になっていることを考えると、「本気ではない」とは言い切れない。

日本は韓国の加盟に反対するか

 加盟申請手続きを開始することを表明した韓国が、CPTPP側が掲げた条件を満たせず参加できない事態は予想しがたい。貿易大国に成長し、どの国に劣らず開放レベルも高いからだ。韓米自由貿易協定が発効して来年で10周年を迎えるという事実はこれを裏付ける端的な例だ。韓国と欧州連合(EU)自由貿易協定は今年すでに10周年を迎えた。

 問題は、全加盟国の賛成を条件に門戸を開くという意思決定方式に韓日間のギクシャクした外交関係が絡んでいるという点だ。日本は外交関係において韓国に冷ややかな態度を取っている。さらに、福島産水産物の輸入を禁止した韓国の措置で起きた両国間の紛争が、世界貿易機関(WTO)で係争中だ。日本側が韓国のCPTPP加盟を阻止したり、少なからぬ見返りを要求する可能性が高い。日本側が、(福島の)水産物問題を解決しない限り韓国の加盟に協力できないという意向を滲ませているとのうわさが通商当局の内外から流れたのも、このような背景のためだ。

韓国は米中の板挟みになるか

 結論からいうと、そうはならないだろう。CPTPPの母胎であるTPP時代はそうだった。米国主導でTPP交渉が妥結した2015年、韓国はちょうど中国と自由貿易協定の締結に向けた交渉を行っていた。米国による「中国包囲」戦略であることが公然の事実だったことを考えると、TPPへの加盟は韓中自由貿易協定交渉を膠着状態に陥れるのに十分だった。そのため、財界や通商当局側では加盟に賛成するムードが高く、どうせなら「ファウンディングメンバー」(初期メンバー)として参加すべきだという意見まで出たが、支持を得られなかった。

 改名された新しい協定では、このような性格が大きく変わった。米国が加盟に留保的で、中国が加盟申請を出した局面がそれを象徴する。これが韓国にとっては逆に負担になるかもしれないという指摘もある。米中対立局面で米国を逆なでするのではないかという懸念だが、説得力に欠ける。多くの面で米国と歩調を合わせてきた日本やオーストラリアが加盟国という事実がこれを裏付けている。

 韓国の通商当局に負わされた負担は、米中対立という大きな構図の国際政治的脈絡よりも、CPTPP加盟国らがこれを機に個別で韓国と関連した課題の解決に乗り出す可能性があるという点だ。全加盟国の賛成を必要とする意思決定方式からして、十分あり得るシナリオだ。これは結局、国内の利害関係者の反発につながりかねない事案だ。例えば、日本の水産物問題を解決すれば、国内の漁業関係者の利益を損なうことになる。産業界の中でも、分野別に利害関係を異にする問題もある。韓国のCPTPP加盟においては、「国際政治」よりはこの「国内政治」の問題が今のところより際立って見える。

キム・ヨンベ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1023260.html韓国語原文入力:2021-12-14 19:57
訳H.J

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