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海外旅行予約殺到…サイパン、欧州に続き、タイも韓国人観光客に隔離なしの入国を許可

登録:2021-10-25 06:46 修正:2021-10-25 07:14
毎週金・土曜日に600~700人出発 
先に旅行に出かけた人たちの「口コミ」広がり 
「正常化への進入段階…希望の光見える」 
旅行各社、先を争って正常勤務体制に転換 
航空各社も旅行先の運航再開を急ぐ
フランス・パリのセーヌ川沿いにある建物から眺めたエッフェル塔の全景=ベリーグッドツアー提供//ハンギョレ新聞社

 23日午前7時、仁川国際空港にある旅行会社の出国準備デスクはサイパンに向かって出発する旅行客で賑わっていた。皆うきうきした気分を隠しきれない様子だった。出国審査に向かう通路の入り口にも列ができていた。「ベリーグッドツアー」のイ・サンピル部長は「この現象は先月からだ。ほぼ1年半ぶりに見る光景だ。毎週金曜日と土曜日には約600~700人が出発する。希望の光が見える」と語った。

 サイパンをはじめ、グアムとハワイ、シンガポール、モルディブとカンクン(メキシコ)、スペイン、フランス、スイス、ギリシャ、トルコ、タイなど、コロナ禍で閉ざされていた海外旅行の扉が相次いで開放されている。主な海外旅行先に向かう空の道も続々と開かれる。業績不振に苦しんでいた旅行業界にようやく回復の兆しが見えはじめ、海外旅行再開を今か今かと待っていた人たちの心が浮き立っている。旅行会社の海外旅行商品の発売とマーケティングが活発になり、利用者の海外旅行商品や航空便の検索量が増えている。

 早くも旅行・航空業界では「11月初めの段階的日常回復(ウィズコロナ)施行と、韓国人に人気の旅行・休養地であるタイが韓国人に対して隔離なしの入国を許可したことを契機に、海外旅行がようやく始まる段階を越え、『正常化』段階に進む」という期待感が高まっている。

■続々と開かれる海外旅行の扉

 今年6月末に韓国とトラベルバブル協定を結んだサイパンを皮切りに、ワクチン接種を完了したか、英文のPCR陰性確認書を提出すればすぐに行ける海外旅行先が急速に増えている。新婚旅行先と休養地として人気のグアムやハワイ、モルディブなどが、個人旅行の許可と隔離なしの条件で韓国人旅行客を受け入れており、欧州ではスペイン、フランス、ギリシャ、トルコ、スイスなど約20カ国余りが「韓国人旅行客歓迎方針」を掲げている。

シンガポールの夜景=ハナツアー提供//ハンギョレ新聞社

 11月にはシンガポールがトラベルバブル協定に基づき、15日から韓国人の団体旅行客をはじめ個人旅行客も受け入れる方針であり、タイでも韓国人に対する隔離なしの入国が認められる予定だ。ハナツアーはすでにチャーター便を利用する「チェンマイへのゴルフ旅行」商品を出した。ハナツアーのチョ・イルサン首席は本紙との電話インタビューで「タイの主要都市と休養地は、ベトナムや日本、中国などとともに韓国人が多く訪れる海外旅行先」だとし、「最近、タイ政府が韓国人に隔離なしの入国を認める決定を下したとされるが、ウィズコロナの施行とかみ合って海外旅行正常化の分かれ目となるだろう」と見通した。

 韓国人の人気海外旅行先のうち、中国は来年開かれる五輪の防疫問題のため、日本は硬直した韓日関係のため、ベトナムは来年6月から海外旅行の扉を開放する方針を表明したため、旅行が再開されてもしばらくは限られた形になる見通しだ。チョ首席は「サイパンに続き、タイまで開放されれば、他の国でも韓国人観光客の受け入れ日程が繰り上げられるかもしれない」と期待を示した。

■先に旅行に出かけた人たちの口コミが起爆剤に

 韓国とサイパンのトラベルバブル協約によって旅行会社がサイパン旅行商品を発売し始めたのは6月末からだ。出発日によって7泊8日が49万ウォン(約4万7千円)台から、ゴルフ3ラウンドが加わった商品は79万ウォン(約7万6千円)台から販売されたが、8月末までは予約者があまり多くなかった。「事実上ホテルでの隔離だが、大丈夫なのか」という懸念が足を引っ張った。済州航空の関係者は「8月末までは乗客が10人程度にとどまることが多かった」と述べた。

 しかし、先に旅行に出かけた人たちの「口コミ」で状況が一変した。ある旅行会社の役員は、「ホテルの隔離といっても、最高級ホテルで1日3食の食事が提供され、ホテルの施設やビーチを利用できるだけではなく、ゴルフも楽しめる。最高の休養だった」という口コミが広がり、予約が殺到し始めた。旅行会社の社員らが家族のため予約するケースも多かったという。数日でサイパン旅行商品が「完売」した。チョ首席は「年末まで予約で一杯だ。8000人が予約した。今は風船効果でグアムやハワイ、モルディブなどの予約が増えている。ハナツアーだけでもグアム旅行の予約者は1200人を超えた」と話した。

 欧州旅行も口コミが起爆剤となった。今年9月、ロッテ観光のツアーでスイスに行ってきた人たちがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じてシェアした旅行の写真と感想を掲載したのがきっかけになった。ベリーグッドツアーのイ部長は「当時20人がスイスの団体旅行に出かけたが、彼らがSNSでやり取りした写真と感想が海外旅行を切実に望んでいた人たちの心に火をつけたものとみられる。韓国人は隔離なしで入国できるとはいえ、実際はどうなのか、不便ではないかと心配する人が多かった。実際旅行に行ってきた人たちの口コミでそのような疑問が解消されたと思われる。スイスでは鼻の中の粘膜ではなく、口の中の唾液採取方式でコロナ感染検査を行うという事実も、彼らを通じて知られた」と語った。

 その後、ベリーグッドツアーでは今月5日、スイス、スペイン、フランス、ギリシャ、トルコのうち、1カ国を選んで9~10日間旅行する「1国1周」商品と、チェコとオーストリアの2カ国を9日間で回る商品を企画したが、発売初日だけで450人が予約し、その後も1日平均200人ほどが申し込みをしている。イ部長は「22日基準で3570人が予約を終え、出発日基準で11月だけで25、年末までに50の商品の出発が確定している。旅行客は出発が確定した商品の中から選んで旅行に行ける」と述べた。ベリーグッドツアーのヨーロッパ旅行商品は、出発日によってトルコ一周商品は99万ウォン(約9万6千円)、スペインとオーストリアは149万ウォン(約14万4千円)、ギリシャとフランスは200万ウォン(約19万4千円)、スイスは339万ウォン(約32万8千円)から予約できる。

タイ・チェンマイのガッサンクンタン・ゴルフ場の全景=ハナツアー提供//ハンギョレ新聞社

■旅行・航空業界「好機逸すべからず」

 旅行各社はウィズコロナとタイの韓国人旅行客に対する隔離なし入国許可をきっかけに、海外旅行が正常化に進むことを期待し、先を争って正常勤務体制に切り替えている。旅行各社は新型コロナウイルス感染症の大流行が始まった昨年上半期から早期退職を募り、休職を勧めるなど、事実上「開店休業」状態だった。ハナツアーは10月から、育児休暇中の社員などを除き、約1100人の社員を全員出勤させている。インターパーク旅行も正常勤務体制に転換した。モドゥツアーなど他の旅行会社も正常勤務の人員を増やしている。ベリーグッドツアーは「今は欧州チームと米州チームだけが全員出勤しているが、11月からは休職者の半分以上が通常通り出勤する」と明らかにした。

 航空業界も旅行市場の回復に向けて体制を整えている。コロナ禍以降中止していた主要旅行先への路線を対象に運航再開・増便を急いでいる。すでにサイパンとグアムは大韓航空やアシアナ航空、済州航空、ジンエアー、ティーウェイなどが週1~2回の運航を再開している。大韓航空はさらに11月3日から仁川-ハワイ路線を、エアソウルは12月23日から仁川-グアム路線の運航を再開することにした。

 韓国政府も支援に乗り出した。海外旅行の活性化を促進するため、コロナ禍で中止していた地方空港の国際線の運航を再開することにした。金海(キムヘ)空港は11月末から金海-サイパンと金海-グアム間の航空便をそれぞれ週2回と1回ずつ運航する予定だ。12月からは大邱(テグ)、清州(チョンジュ)、務安(ムアン)空港でもそれぞれ週3~5回、来年の旧正月連休には金浦や済州(チェジュ)、襄陽(ヤンヤン)空港でも国際線航空機の離着陸ができるようにする予定だ。国土交通部のキム・ヨンソク航空政策室長は「金海空港のサイパン・グアム路線増便を皮切りに地方空港の国際線運航が拡大すれば、地域住民が海外旅行に出かける際、利便性が大きく向上する」とし、「地域の航空・旅行業界の回復の呼び水になるよう積極的に支援する」と述べた。

キム・ジェソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/1016347.html韓国語原文入力:2021-10-25 02:34
訳H.J

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