サムスンバイオロジックスがコールオプションを示さず、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長一家が1兆ウォン(約1千億円)以上利益を得ており、国民年金は2千億ウォン(約200億円)程度の損失を被ったという調査結果が12日に出た。もし、国民年金がコールオプションを反映して計算したなら、サムスン物産の株主総会で合併案に反対票を行使し、合併が実現しなかった可能性が高い。同日、金融委員会傘下の証券先物委員会は、サムスンバイオロジックスのコールオプション公示漏れを「故意の粉飾」と判断し、検察に告発することにしており、波紋が広がるものとみられる。
参与連帯経済金融センターは同日、「コールオプションの負債を反映したサムスンバイオロジックスの価値変動が第一毛織対サムスン物産の合併に及ぼす効果」を分析して発表した。2015年7月の第一毛織とサムスン物産の合併過程で、サムスンバイオロジックスが合弁会社のバイオジェンと結んだコールオプション条項を隠したことによるイ・ジェヨン副会長一家と国民年金の損益を計算したものだ。
当時、バイオジェンは、サムスンバイオエピスの株式40.3%を取得できるコールオプションを保有していたが、サムスンバイオロジックスはこれを十分に公示しなかった。当時、証券会社はこれを1兆5000億ウォン(約1500億円)相当のものと評価した。優良な子会社の株式の半分近くが他社のものになるかもしれない約束(コールオプション)を結んだ状態だったにもかかわらず、これを市場に知らせなかったのだ。
参与連帯は、当時のコールオプションの負債をサムスンバイオロジックスの価値評価に反映した場合、第一毛織とサムスン物産の適正合併比率は、いかなる場合にも1対0.5を上回ったはずだと予想した。第一毛織1株当たりサムスン物産2株程度の割合が適正な合併比率だったということだ。これは当時、サムスン側が提示した第一毛織1株当たり、サムスン物産3株程度(1対0.35)の合併比率を大幅に上回るものだ。サムスン側がコールオプションを隠し、サムスンバイオロジックスを保有した第一毛織の価値を膨らませたために可能なことだった。
コールオプションを隠したことで、イ・ジェヨン副会長一家は統合後のサムスン物産に対する持分率を大きく上げた一方、国民年金の持分率は下がった。参与連帯は、コールオプションの負債を隠したことで、イ・ジェヨン一家は1兆1000億~1兆3000億ウォンの利得を得ており、統合サムスン物産に対する持分率も約4%ポイント(26%→30%)増えたものと推定した。逆に国民年金は1800億~2200億ウォンにのぼる損害を被ったことが調査で明らかになった。