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生き残りをかける「コバルト確保戦争」

登録:2018-04-12 07:31 修正:2018-04-12 15:33
電気自動車バッテリーの主要原料  
1年で価格3倍に…“天井知らず”  
コンゴで児童労働により「紛争鉱物」に  
国内企業「安定供給」に死活をかけ  
LG化学、世界1位企業と合弁  
SKイノベーション、オーストラリア会社と契約  
サムスンSDI「さまざまな方法を検討」
LG化学の梧倉電気自動車バッテリー生産ラインのようす=LG化学提供//ハンギョレ新聞社

 電気自動車用バッテリーの核となる原材料であるコバルトの価格が天井知らずに跳ね騰がり、LG化学やSKイノベーションなど主要企業がコバルトの確保に急いで取り組んでいる。世界生産量の半分以上を担うコンゴで児童労働が頻繁に発生し、コバルトが「紛争鉱物」になり、電気自動車用バッテリー生産業者が安定的に供給を受けるルートの確保に乗り出しているのだ。

 LG化学は11日、中国の華友コバルトと前駆体・陽極材の合弁生産法人の設立契約を締結したと発表した。華友コバルトは2017年コンゴからコバルトを輸入して2万トンの精錬コバルトを生産する世界1位の企業だ。華友コバルトは児童労働の根絶など、コバルト供給網問題に共同努力するため、2016年に発足した「責任あるコバルトイニシアチブ」(Responsible Cobalt Initiative.RCI)に参加している。

International trading price of cobalt

 LG化学は2020年までに計2394億ウォン(約240億円)を出資して華友コバルトと前駆体および陽極材の合弁生産法人をそれぞれ設立し、運営にも参加する。前駆体はバッテリーの陽極材の製造のための上位工程でコバルト・ニッケル・マンガンなどを結合して製造する。陽極材はこの前駆体とリチウムを結合して作るバッテリーの素材だ。LG化学は華友コバルトからコバルトなど原材料を供給してもらい、合弁法人が生産した前駆体・陽極材の製品も優先的に供給してもらうことにした。今回の合弁投資で、「華友コバルト(コバルトなど原材料)→合弁生産法人(前駆体・陽極材)→LG化学(バッテリー)」へとつながる安定的な需給システムを構築できるようになった。

 SKイノベーションもコバルト確保に飛び込んだ。2月にオーストラリアのバッテリー原材料生産会社「オーストラリアン・マインズ」(AM)と硫酸コバルト・ニッケルなどに対する長期購買契約(基本7年、追加6年延長可能)を結んだ。今後の持分投資に対する独占交渉権も確保した。オーストラリアから本格供給が始まるまでは、コンゴから輸入したコバルトを製錬した原材料を中国と韓国メーカーから供給されていた。SKイノベーションは「責任あるコバルトイニシアチブ」にはまだ参加しておらず、紛争鉱物が含まれているかどうかを確認していない。サムスンSDIも安定的なコバルトの供給に向けてさまざまな方法を検討中だ。サムスンSDIの関係者は「素材会社と長期供給契約を締結し、コバルト使用の割合を下げる方向で研究・開発を進めている」と話した。

 こうしたコバルト確保競争は最近のコバルト価格の急変動と密接につながっている。フィナンシャル・タイムズ紙によると、2017年のコンゴでのコバルト生産量は15%増えたが、価格は3倍以上に跳ね騰がった。今年に入っても、1月3日の1トンあたり7万5千ドル(ロンドン金属取引所価格)から3月21日には9万5千ドルまで跳ね上がった。このため電気自動車バッテリーメーカーらは「中核原材料価格が連日急騰し、需給に赤信号が灯っている。国外の合弁投資と購買契約を通じた安定的な原料の確保にグループが死活をかけている」と口をそろえた。

チョ・ゲワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/840194.html韓国語原文入力:2018-04-11 20:49
訳M.C(1653字)

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