朝鮮半島内の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題を巡って浮上した韓中間の軋轢の影響で、今年上半期韓国のサービス収支の赤字が史上最大値を記録した。韓国銀行は韓中の軋轢が今年の経済成長率を0.3%ポイントほど引き下げと明らかにした。
韓銀が3日に発表した「6月国際収支(暫定)」によると、今年上半期(1~6月)のサービス収支は157億4千万ドルの赤字だった。昨年同期(78億ドル)より赤字幅が2倍近く増えた。半期基準では過去最大の赤字幅だ。従来の最大の赤字規模は2016年下半期の97億8千万ドルだった。サービス収支とは運輸・旅行・特許権使用料など外国とのサービス取引を通じてあげた収益と支払った金額の差を指す。
サービス収支の赤字幅が大きく増えたのは、THAAD配備と関連して中国政府が韓国団体観光を禁止した影響が大きく作用した。出入国資料によると、今年6月1カ月間だけでも、中国人入国者数は前年同月より66.4%も減った25万5千人に止まった。5月にも似たような規模で、中国人入国者数が減少した。
チョン・ギュイル韓銀経済統計局長は同日のブリーフィングで「海外旅行は国内所得の増加などの影響で基調的に着実に増えているが、外国人の国内旅行は大幅に減り、サービス収支の赤字幅が拡大した」としたうえで、「入国者数は2012年以降、急激に増えたが、今年3月、中国政府が韓国団体観光禁止処置を取ってから、大幅に減少しており、日本や米国、フィリピン居住者の国内旅行も減っている」と話した。
韓銀は先月13日、経済展望報告書を発表し、THAADの衝撃が今年の経済成長率(実質)を0.3%ポイントほど引き下げたと明らかにしている。およそ4600~4700億ウォン(450~460億円)規模の付加価値が韓中の軋轢によって消えたことになる。韓銀の関係者は「団体観光禁止の措置が出る前の中国人観光客を分析してみると、65%ほどを団体観光客が占めていた。現在、減少する観光客規模もこれと一致する」とし、「中国人観光客は他の国の観光客より旅行に使う金額が多いため、国内経済に及ぼす直接・間接的な波及力がさらに大きい」と話した。
サービス収支と商品収支を合わせた経常収支は今年上半期362億7千ドルの黒字となった。6月の黒字規模は70億1千ドルで、1年前(120億9千ドル)よりは黒字幅が大きく減っている。サービス収支の赤字幅が拡大し、景気回復によって国外から機械類の輸入が増えたためと韓銀は説明した。月基準で64カ月連続の黒字を記録している。
一方、外国人による国内証券投資は昨年12月以降7カ月連続で増加したことが分かった。今年上半期の外国人の証券投資規模は231億3千万ドルで、半期基準では歴代3番目に多い。チョン局長は「国内企業の営業実績の改善に対する期待感と、良好な国家信用等級などが影響を及ぼし、株式資金と債券資金が引き続き流入されている」と話した。今年に入って米中央銀行が3月と6月に2度も政策金利を引き上げ、韓米間の金利差がほとんどなくなったが、外国人投資者たちの国内投資拡大の流れは続いている。