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駐車場を造るために115年経った工場をなくした仁川市

登録:2018-01-04 22:44 修正:2018-01-05 09:41
開港期・日帝強制占領の歴史抱いた建築物、相次ぎ撤去 
市民団体、門戸開放の中心地仁川の価値を無視 
仁川市、文化財指定を推進「管理方案準備中」
仁川市中区が昨年5月、駐車場を造るために撤去した115年の歴史を持つ愛敬石鹸工場の元の姿=仁川都市公共性ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 朝鮮末から門戸開放の中心地であった仁川(インチョン)は、今も近代建築遺産が多く残っている所だ。しかし、こうした建物が開発圧力に押されて、一つ二つと歴史の中に消えている。「近代文化遺産」の保存について傍観ばかりしていると批判された仁川市が、一足遅れて歴史的建築物の全数調査と国家文化財指定に動き出した。

 仁川市中区は、史跡287号の沓洞聖堂(1897年建設)に隣接する仁川カトリック会館を撤去し、駐車場を作る工事を進めている。仁川カトリック会館は、1970~80年代の軍部独裁時代に仁川民主化運動の象徴的空間だった。中区は昨年5月にも115年の歴史を受け継いできた“愛敬”石鹸工場(1902年)の建物を壊し、駐車場を造った。それだけでなく、日帝強制支配時代に作られたソンジュ屋(1930年)や朝日醸造場(1939年)、東方劇場(1941年)もすべてなくなり、その場には石碑だけが残っている。

撤去が進行中の仁川カトリック会館=仁川都市公共性ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 仁川都市公共性ネットワークを主軸にした市民社会文化団体は、これらの建物を「門戸開放の中心地」であった仁川の近代文化遺産として存続させるべきだとし、撤去に反対した。しかし、中区はこれらの建物が登録文化財に指定されておらず保存する名分がないとし、相次いで撤去した。最近では1921年に近代式劇場として建てられた「愛館劇場」も民間建設業者に売却を推進していることが分かった。市民団体はこれまで仁川市が強調してきた「仁川の価値再創造」が虚しいスローガンだと批判している。

 市民団体による批判が続くと、仁川市が歴史建築物の保存に乗り出した。4日、仁川市は2016年11月に施行した実態調査結果に基づいて、1880年代の開港期から1950年代までに建てられた建築物210棟(国家や仁川市の指定文化財19棟を含む)を管理対象、23棟を優先管理対象に指定したと明らかにした。歴史的建築物は、開港場周辺の旧都心である中区・東区に82%(172棟)が密集している。

建設業者への売却が推進されていることが分かった韓国の1920年代の近代式劇場である愛館劇場の1950年代の姿=仁川都市公共性ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 このうち、江華聖堂(カンファソンダン)にある祭台と洗礼台など8ヶ所だけは所有者の同意を得て「登録文化財」になった。登録文化財は、近・現代時期の建築物のうち保存価値があるものを所有者の同意を得て自発的に保存・活用するようにするものだ。登録文化財も外形は保存しなければならないが、内部は活用できるように一部改善・補修が可能だ。

 仁川市は3億ウォンを投じて来月から来年9月まで建物や橋など21万3千個の主な建築物を対象に調査を行う計画だ。市関係者は「旧東洋製鉄化学社屋など、保存価値が高いと判断される23の建物に対して、まず国家や地方自治体の文化財への指定を推進中」とし「歴史・芸術的価値が大きい建築物は、急いで文化財に指定する方案を探す」と話した。

イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/826302.html韓国語原文入力:2018-01-04 21:03
訳J.S

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