「ろうそく」が大統領府に入った。
作家のイム・オクサン氏が昨年冬、ろうそくで埋め尽くされた広場を描いた大作『広場に、“立ち”』が最近、大統領府本館に設置された。この作品は、ろうそくデモが行われた週末ごとに光化門(クァンファムン)広場を訪れたイム氏が、ろうそくを描いたキャンバス78個をつなぎ合わせて横11.7メートル、縦3.6メートルの巨大な風景として表現したものだ。
前政権では自分が「ブラックリスト」の作家だった彼は、昨年10月18日、光化門で黒いマントを着て朴槿恵(パク・クネ)政府の「文化芸術人ブラックリスト」真相究明を要求し、ろうそく集会の度に広場を訪れ、ボール蹴り・書道・釘刺しなどの「抵抗パフォーマンス」を行った。現代史を貫通する場面を捉え、さまざまな素材と技法で表現してきたイム氏は、ろうそく広場の感激を手放せなかった。彼は横90センチ、縦60センチのキャンバス108枚(全長横16.2メートル、縦3.6メートル)に、土を絵の具のようにして描いたろうそくを完成させた。この作品は8~9月、ソウル鍾路区平倉洞(ピョンチャンドン)のカナアートセンターで「風が起きる」をテーマに開かれた展示会で初披露された。ユ・ホンジュン明智大学碩座教授は「記念碑的な歴史記録画」と評価した。
美術界の関係者らの話を総合すると、普段から美術に造詣が深いキム・ジョンスク大統領夫人が展示会のニュースを聞き、9月に自ら展示場を訪れ作品を観覧したという。夫人から作品の話を聞いた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、秋夕(チュソク)の連休期間の先月6日、安東河回(アンドンハフェ)村の訪問に同行したユ・ホンジュン教授に作品を購入する意を伝え、イム氏も快く同意した。イム氏は文大統領が大統領候補時代に立ち上げた「ソウル歴史文化ベルトの造成公約企画委員会」にユ教授とともに参加もした。『広場に、“立ち”』が置かれる大統領府本館入り口の壁が展示場のスペースより小さいため、イム氏は本来の作品からキャンバス30枚を取り、13日に設置を終えた。