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間近で見た新羅金冠の原形 燦然と輝く姿がよく似ている

登録:2016-01-12 23:34 修正:2016-01-13 05:56
日本の九州国立博物館「アフガン遺物展」
ティリャ・テペ金冠 =ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 燦然と輝く新羅金冠の原形が目の前にある。 タリバンの破壊を奇跡的にまぬがれ昔の真間の輝きを誇る1900余年前の中央アジア、大月氏族の金冠だ。 高さが10センチ余り、長さも45センチ程度の華奢な姿で長い戦乱の歳月を耐えてきた。 小さな本体に5本の木枝装飾が几帳面に施され、枝ごとに吊り下げられた金の鈴(瓔珞)が揺れる。 瓔珞がない新羅金冠の基本的な原形だ。 それから300余年後、新羅人に伝えられた黄金芸術の真骨頂だ。 この大切な縁を生み出した月氏族の職人たちはどんな想像をしながら黄金の冠に触れたのだろうか。 冠を持ち主である墓の中の女人の人生はどんなだったのだろうか。

4~5世紀に新羅人に伝えられた
アフガニスタン古代黄金遺物展示
「劇的に保全」ティリャ・テペ出土品も
韓国内巡回展は交渉中…実現に期待

 この金冠は今、玄海灘を渡り日本の福岡太宰府にある九州国立博物館に来ている。この博物館は新年初めから新羅黄金文化のルーツであるアフガニスタンのカブール博物館所蔵黄金遺物コレクションを披露する大型展を開いている。 紀元前4世紀、アレクサンドロス大王の東方遠征の舞台であったアフガン北部バクトリアのヘレニズム、遊牧民融合文化の真髄を見せる「黄金のアフガニスタン」特別展だ。

黄金の戦士像 =ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 1336点の展示品はヘレニズム都市遺跡であるテペ・フロール、アイ・ハヌムとティリャ・テペの遊牧民墓、古代遺跡ベグラムで出土したもので、シルクロード研究書に登場する最高の名品が多数ある。 1978年ロシアの調査団によって6基の遊牧民墓が発掘されたティリャ・テペ出土の黄金装飾、副葬品だけで1165点に及ぶ。 ティリャ・テペ出土品は1980年代に内戦が激化するやカブール博物館の地下に埋められて無くなったと思われたが、2001年に全て残っている事実が確認され世界を驚かせた。 「古代世界文化交流の中心地であったアフガニスタンのヘレニズム遊牧民土着芸術を通じて、その影響を吸収した東アジア古代文化を調べ直そうと考えた」と小泉惠英・学芸部長は言う。

 ティリャ・テペ金冠は4~5世紀の新羅金冠の原形を見せる唯一の先行遺物で、芸術史的価値が高い。 金冠を直接見たミン・ビョンフン元国立中央博物館アジア部長は「空と大地をつなぐ神獣(鳥)と花形のロゼット模様などが瓔珞と共に付いていて、それ自体が太陽のように輝く権力を象徴する」として「ヨーロッパと西アジアから東アジアの果てまで展開したシルクロード交流史を感動的に証明する宝物」と絶賛した。 ティリャ・テペで出土した向かい合う黄金の戦士像も忘れがたい感動を伝える。 決然とした表情で向かい合う対称構図の戦士像の周囲には、種々の動植物模様が配置され優雅な装飾美とともに戦士の悲壮な気品が感じられる。

 ギリシャ本土から2000キロメートル以上離れた辺境の地であるアイ・ハヌムのギリシャ風出土品は、ヘレニズム都市らしくヘラクレス像などの写実的彫刻像とギリシャ語の刻銘が注目を集める。

 ヘレニズムと古代インド、ペルシャ文化が入り乱れた様相のベグラム遺跡は、インドの躍動感ある肉体表現がヘレニズムの精緻な写実主義と結びついた象牙製女性像が断然際だって見える。 世界的水準である日本のシルクロード学研究成果が忠実に反映された展示構成と良質の図録概説書など、すべての面で最上級の展示だ。 韓国の国立中央博物館も最近この黄金コレクションの韓国内巡回展を交渉中であり、実現に期待が集まる。

太宰府/ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/725928.html 韓国語原文入力:2016-01-12 20:45
訳J.S(1675字)

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