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お一人様の時代、秋夕とは【コラム】

登録:2026-09-23 01:32 修正:2026-09-24 06:48
単身世帯の割合が36.6%にのぼる「お一人様の時代」。しかし、今も各種の福祉制度などは「家族」に焦点が当てられている=クリップアートコリア//ハンギョレ新聞社

 「あのようなコラムはどうやったら書けるんですか?」

 ソウル大学政治外交学部のキム・ヨンミン教授が、今月初めに50人あまりの記者の前で文章作成について講演している場でのことだった。講演の終盤、ある記者が尋ねた。「あのようなコラム」とは、2018年にキム教授が執筆した「秋夕(チュソク)とは何か」というタイトルのコラムのこと。秋夕で久しぶりに会った従叔父から「いつ就職するのか」と聞かれたら「従叔父とは何か?」と返し、「家族同士でこんな話もできないのか」と言われたら「家族とは何か?」と答えようというコラムの提案は、愉快を超えて痛快だった。表向きはユーモアだが、本音はもう少し哲学的だ。危機的な状況であればあるほど、アイデンティティーを根本的に問うことが必要だという問題意識が込められているのだ。

 もうすぐ秋夕の連休がはじまる。「あのコラム」が発表掲載された8年前とは、多くのことが変化している。失礼なことを聞いてきそうな従叔父に会う確率は低下。今年の秋夕に祭祀を行う予定がある世帯は、10世帯中3世帯にも満たない(韓国農村経済研究院による調査)。昨年は40.4%だった。2018年には71.2%もの世帯が祭祀を行うと答えていたが、半分に減った。伝統的な価値規範は薄れ、時代が変わりつつある。実家や親戚の家に行くと回答した人も50%ほどにとどまる。残り50%は家で休んだり、旅行したり誰かと集まったりすると答えた。従叔父どころか、叔母さんやいとこの顔さえ忘れてしまいそうだ。だから、改めて時代に問われている。家族とは何か。

 韓国社会において家族は、単なる生活を営む最小単位以上の意味を持っていた。国の各種の福祉は家族単位で支援がなされる。マンションの分譲抽選時の加算点も、家族が多いほど有利になるよう設計されている。多くの権利は、家族という政治経済的単位を中心に保障される。もちろん、それには責任も伴う。開発時代には、国が責任を負えない領域は家族に責任が押し付けられた。家族や親姻戚同士で、困窮した時は金を貸し借りし、仕事で協力し、大勢で仲良く大家族のように互いを支え合った。強力な家族主義的連帯が形成されていた。その裏には、自分の家族さえ豊かに暮らせればよいというサバイバリズムが潜む。失業や貧困などの困難に直面し、家族全員が世の中から消えてなくなってしまうという極端な選択は最悪のかたちだ。

 しかし時代が変わるにつれ、家族のアイデンティティーも変化した。父、母、2人の子どもからなる4人家族は、もはや標準とは言い難い。単身世帯の割合は36.6%にのぼる。結婚したくなく、子どもも作りたくなくて「シングル」という生き方を選ぶ若年層が多いからという説明は、半分だけの真実だ。その選択の背景には社会構造がある。労働、産業、人口構造などの複合的な社会の変化とともに、単身世帯はこれからも増えていくだろう。

 今や中心軸は「家族」ではなく「自分自身」だ。国が家族に負わせていた危険と責任のかなりの部分が、個人のものとなっている。一人暮らしで温かい食事を準備して自分の面倒を見たり、体調を崩した時に一人で対処したりといったことは、単身世帯の最大の悩みだ。家族の構成や形態が変化したにもかかわらず、国が家族に押し付けていた介護や扶養などは、依然として個人の責任のままになっているからだ。そのうえ、「家族」を中心に据えた様々な制度は、家族形態の変化の速さに追いつけていない。

 「お一人様の時代」を「孤立の時代」にしないようにするためには、家族や結婚といった伝統的な枠組みを超えたセーフティーネットが必要だ。支え合い、困難な時には自分を支えてくれるてこが「家族」だけになってはならない。単身世帯がなぜ増えているのかについての洞察を記した『必然的ひとりの時代』、そして11年間にわたる孤独死研究を記録した『一人で死ぬ社会』の2人の著者(キム・スヨンとソン・インジュ)が導き出した結論でもある。だから、こうも問うべきだ。一人で暮らすこと、一人で世話をすることとは、どういうことなのか。家族以外のセーフティーネットとはどのようなものか。

 追記。冒頭で記者に投げかけられた問いに対するキム・ヨンミン教授の答えは素朴なものだった。「考えの方からやってくる人になってください。歩いていたら、ふと考えが浮かぶようになります」

//ハンギョレ新聞社

ファン・イェラン|ディーストーリーチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1279129.html韓国語原文入力:2026-09-22 18:52
訳D.K

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