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韓国大統領と最高裁長官の衝突招いた、最高裁判事の推薦をめぐる騒動

登録:2026-08-25 06:04 修正:2026-08-25 10:38
チョ・ヒデ最高裁長官が8月19日午前、ソウル瑞草区の最高裁に出勤している=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン先任記者の「政治舞台裏//ハンギョレ新聞社
 韓国憲法104条2項は、「最高裁判事(大法官)は、最高裁(大法院)長官の提請(任命推薦)により、国会の同意を得て大統領が任命する」と定めています。最高裁長官には提請権があり、国会には同意権があり、大統領には任命権があります。最高裁長官が提請しなければ、国会が同意しなければ、大統領が任命しなければ、最高裁判事は任命されることはありません。

 特に、最高裁長官と大統領がそれぞれ別の人物を推せば、最高裁判事の任命手続きが全く進まない可能性があります。これまでは、大統領と最高裁長官が事前の調整により事実上の人選を終えた後、提請・同意・任命の手続きに入るという慣行が生まれた理由です。

 最高裁長官は、自分の思い通りに最高裁判事候補を提請することはできません。裁判所組織法は、最高裁長官が提請する最高裁判事候補を推薦するため、最高裁判事候補推薦委員会を設置するよう定めています。最高裁長官は、推薦委員会の推薦を尊重しなければなりません。

 推薦委員会は、最高裁長官が最高裁判事候補を提請するたびに、委員長1人を含む10人の委員で構成されます。先任最高裁判事、裁判所事務総局、法務部長官、大韓弁護士協会長、韓国法学教授会会長、法科大学院協議会理事長、最高裁判事以外の裁判官1人、そして「学識と徳望があり、各専門分野で経験が豊富な者であって、弁護士資格を持たない者3人(このうち1人以上は女性)」です。推薦委員会は、最高裁判事候補を推薦すると解散します。

 今年3月に退任したノ・テアク最高裁判事の後任を提請するため、最高裁判事候補推薦委員会(委員長 チェ・ジェチョン)が構成されました。推薦委は1月21日、水原高裁のキム・ミンギ判事、ソウル高裁のパク・スニョン判事、大邱地裁のソン・ボンギ部長判事、ソウル高裁のユン・ソンシク部長判事を推薦しました。

 慣例に従い、大統領府と最高裁は調整に乗り出しました。大統領府は、女性で進歩(革新)色のキム・ミンギ判事を希望しましたが、チョ・ヒデ最高裁長官が断固として反対しました。表向きの理由は、キム・ミンギ判事がオ・ヨンジュン憲法裁判官の配偶者であるということでした。そうして7カ月が過ぎました。

 結局、ノ・テアク最高裁判事は退任し、後任者は任命されませんでした。その間、ユン・ソンシク部長判事は内乱専任裁判部の裁判長に指定され、中央選挙管理委員であるパク・スニョン判事は、6・3選挙の投票用紙不足事態をめぐる論争に巻き込まれました。

 これとは別に、9月に退任するイ・フング最高裁判事の後任選びに向けた最高裁判事候補推薦委員会(委員長 パク・ウンジョン)が新たに構成されました。推薦委は8月4日、釜山地裁のキム・ムングァン院長、ソウル高裁のキム・ソンス部長判事、ソウル南部地裁のキム・イェヨン部長判事、光州地裁のキム・ジョンジュン部長判事を推薦しました。大統領府と最高裁は、この中からキム・ソンス部長判事を提請することで意見がまとまったとのことです。

 問題は、ノ・テアク最高裁判事の後任でした。チョ・ヒデ最高裁長官は突然、慣例を破り、書面でソン・ボンギ部長判事とキム・ソンス部長判事を同時に提請しました。李在明(イ・ジェミョン)大統領に正面から挑んだ形です。

 筆者はチョ・ヒデ最高裁長官が間違っていたと思っています。大統領を最後まで説得するにせよ、自ら譲歩するにせよ、慣行を守るべきだったと思います。国政において、慣行は法律よりも優位にある場合が多いのです。

 ましてや、李在明大統領とチョ・ヒデ最高裁長官の間には因縁があります。チョ最高裁長官は、大統領選挙直前に、李候補の選挙法違反事件の上告審を全員合議体に付託し、拙速な審議を行った末、有罪の趣旨で破棄差し戻しをしました。おそらく有罪の趣旨で破棄判決を下したかったのでしょう。

 もし最高裁が破棄判決により李在明候補の被選挙権を剥奪していたら、どうなっていたでしょうか。主権者である国民は黙ってはいなかったでしょう。市民革命が起きていたはずです。チョ最高裁長官の率いる最高裁は消滅していたでしょう。

 大統領選挙後、李大統領と民主党が、最高裁と保守野党「国民の力」の反対にもかかわらず押し通した司法改革について、国民の大多数が賛成した理由はまさにここにあります。チョ最高裁長官が優れた法律家かどうかはともかく、憲法の最も基本である国民主権の原則を知らない無資格者です。

李在明大統領が8月21日、大統領府で開かれた反腐敗政策協議会で発言している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 過去にも、大統領と最高裁長官は最高裁判事の指名をめぐり、幾度となく対立してきました。大統領と最高裁長官が互いに一歩ずつ譲歩することで、慣行が保たれてきました。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領とチェ・ジョンヨン最高裁長官の事例から見ていきましょう。盧武鉉大統領の民政首席秘書官だった文在寅(ムン・ジェイン)元大統領が2011年に出版した著書『運命 文在寅自伝』に、その経緯が詳しく記されています。

 「2003年8月、最高裁判事の騒動があった。最高裁判事の推薦問題をめぐり、大統領府と最高裁がかなり困難な状況に陥った。当時、法曹界の内外では、最高裁判事・憲法裁判官の構成において、人権、女性、マイノリティの保護など、社会の多様性が保障されるよう求める世論が高まっていた」

 「最高裁判所長官が新任の最高裁判事候補を提請するために人選作業を始めた際、私は大統領の意向を最高裁側に伝えた。人権、女性、マイノリティの保護など、いずれにせよ最高裁判事の構成における多様性を志向する方向で指名してほしいというのが大統領の意向だと伝えた。ところが、最高裁側は別の話を聞き、大統領の意向を誤解したのか、結局、伝統的に行われてきた年功序列方式で候補を指名してしまった」

 「最高裁判事推薦会議に推薦委員として出席していたカン・グムシル法務部長官と大韓弁護士協会のパク・ジェスン会長が反発し、退席した。法曹界は言うまでもなく、若手判事たちも問題を提起した。改革派として信頼されていたソウル中央地裁のパク・シファン部長判事は辞表を提出した。一部の若手判事たちは、最高裁判事の提請手続きに反発し、インターネット上で連名署名活動を展開するなど、集団的な意思表示に乗り出した」

 「現実的に、最高裁長官が提請を撤回することも容易なことではなかった。かといって、多様性の精神が反映されていない最高裁判事の提請を、大統領がそのまま受け入れることも難しい状況だった」

 「進退両難の状況で、ユン・グァン元最高裁長官が仲裁に乗り出し、裁判所と協議した解決案を提示してくれた。『大統領が納得できないとしても、今回の最高裁判事の提請を受け入れていただければ、第一に、最高裁長官に推薦権がある次回の憲法裁判官候補の推薦から始め、次回の最高裁判事の提請については多様性を基準とする。そして、全国裁判官会議を招集し、意見を集約するとともに、次期憲法裁判官の人事および最高裁判事の人事を多様性の基準で行うことを公に約束する』というものだった。裁判所側の意志を確認し、その案を受け入れた。韓国初の女性憲法裁判官、初の女性最高裁判事が、そのようにして誕生した」

 大統領と最高裁長官のこうした信頼を基に、廬武鉉政権は司法改革においてかなりの成果を上げました。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領とイ・ヨンフン最高裁長官も2009年8月に対立しました。イ・ヨンフン最高裁長官が提請しようとした候補が気に入らなかった李明博政権の大統領府は、「最高裁判事の提請問題で最高裁長官に会う理由はない。最高裁は今後、最高裁判事候補を書面で提請せよ」と不快感を示しました。これを受け、イ・ヨンフン最高裁長官は「3人の候補を提示するが、大統領府が誰を選んでも従う」と歩み寄りました。李明博大統領とイ・ヨンフン最高裁長官が会談し、提請は順調に行われました。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とキム・ミョンス最高裁長官も対立しました。2023年5月、最高裁判事候補推薦委員会が退任予定の最高裁判事2人の後任として8人を推薦しました。キム・ミョンス最高裁長官はその中から、進歩色の女性候補者を指名しようとしていました。尹錫悦大統領と大統領府は拒否権を行使すると脅しました。結局、キム・ミョンス最高裁長官は信念を曲げ、6月9日に別の候補者2人を提請しました。

 今回はどのように解決すべきでしょうか。今回の事態の本質は、チョ最高裁長官が大統領に反旗を翻し、慣例を破って書面でソン・ボンギ候補を提請したことです。憲法が保障する最高裁長官の提請権を「法律通りに」行使したのです。それならば、李大統領も「法律通りに」権限を行使すればよいのです。提請を却下すればよいのです。

 この場合、最高裁は候補推薦委員会を新たに構成しなければなりません。推薦委員会が新たな候補者を推薦すれば、チョ最高裁長官はその中から一人を再び提請しなければなりません。もし李大統領がこの人物も気に入らなければ、再び提請を却下するでしょう。最悪の場合、最高裁長官の指名と大統領の却下が無限に繰り返される可能性があります。それでも仕方ありません。チョ最高裁長官が自ら招いた「ニューノーマル」なのです。

 最高裁長官による推薦委員会の再構成および再提請には前例もあります。2012年7月、キム・ビョンファ候補が国会の任命同意案の採決を控えて自主的に辞退すると、ヤン・スンテ最高裁長官は最高裁判事候補推薦委員会を新たに構成し、2012年10月にキム・ソヨン候補を再提請しました。

 今回の事態を機に、民主党はチョ最高裁長官の辞任を要求しています。キム・ミンソク代表の指示により、全国でチョ最高裁長官の辞任を求める横断幕が掲げられました。これは政治的攻勢です。間違っています。卑怯です。チョ最高裁長官が憲法や法律に違反したのであれば、国会で弾劾訴追を行うのが正当です。弾劾訴追を行わないのは、憲法裁判所が弾劾を棄却する可能性が高いとみているからでしょう。

 チョ最高裁長官の途中辞任は、李大統領と民主党にとって政治的な負担も大きすぎます。国民には、与党勢力が立法、行政、司法のすべてを掌握しようとしているように映るからです。チョ最高裁長官は、いずれにせよ来年6月に定年退職します。李在明大統領が、その時点で手続きに従って新たな人物を最高裁長官に任命するのが道理です。政治は常識です。皆さんはどうお考えですか。

ソン・ハニョン政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1274152.html韓国語原文入力:2026-08-24 14:50
訳H.J

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