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「ユン・アゲイン」か、飛躍か――岐路に立たされた韓国社会【寄稿】

登録:2026-07-01 08:23 修正:2026-07-01 10:44
統一地方選挙の投票用紙不足をきっかけとした「開票所封鎖デモ」が続いていた6月14日、ソウル松坡区オリンピック公園のハンドボール競技場のチケット販売所などに、「不正選挙は今回で終わらせなければならない」などのメッセージが貼られていた=チョン・ボンビ記者//ハンギョレ新聞社

 政権交代からわずか1年で、世の中が再び不穏な雰囲気に包まれている。当初、今回の地方選挙は与党の圧勝が予想される中、いくつかの激戦区が注目される程度だった。ところが、選挙後のこの1カ月はその予想を超えるものだった。選挙管理委員会の問題が浮上し、戒厳令を擁護する不正選挙陰謀論が再燃した。大統領と与党「共に民主党」の支持率が急落し、与党内の内紛が激化した。支持率15%だった保守野党「国民の力」は瞬く間に弾劾の泥沼から抜け出し、「ユン・アゲイン」勢力が勢いを増した。一体何が起きたのだろうか。

 最も重要なのは、内乱後の社会の安定と民主主義の再確固化という歴史的課題の観点から、現状の意味を理解することだ。非常戒厳によって引き起こされた憲政、人権、戦争の危機の再発を防ぐためには、何よりも政党政治が変わらなければならない。親衛クーデターの本質は、民主的な選挙で政権を握り、民主主義を転覆させることであるからだ。誰が政権を握っても民主主義と憲政が尊重されるという保証が得られるまでは、民主主義は安全とはいえない。

 その意味で、理想的なシナリオは二つある。一つは、李在明(イ・ジェミョン)政権と民主党が国政と民主主義において模範を示し、国民の力が刷新せざるを得ない状況を作ることだ。もう一つは、国民の力が内乱と決別して刷新し、民主党にとって健全なパートナーであり、脅威となる競争相手になることだ。

 しかし、地方選挙と選挙管理委員会の事態を経て展開された政局は、最悪のシナリオだ。民主党は民主主義を安定させる主体として十分な国民的信頼を得られず、国民の力は全く民主的な保守政党として生まれ変わることなく、もっぱら与党の失点のおかげで支持率を取り戻した。なぜこうなったのか。

 まず、選挙結果がその後の政局に及ぼした影響は少なくない。全体的な情勢を見る限り、民主党は広域自治体首長選挙、国会議員補欠選挙など、多くの面で圧勝した。だが、戦略的要衝での選挙結果が、当選者全体の構図を覆い隠すほど強力な波紋を広げた。そこには二つの側面がある。

 一つは、知名度の高い「ユン・アゲイン」候補たちの勝利だ。チュ・ギョンホ大邱(テグ)市長の当選とイ・ジンスク前放送通信委員会委員長の国会入りがその代表的な事例だ。もう一つは、未来の大統領選候補の一人とされるオ・セフン・ソウル市長とハン・ドンフン元国民の力代表の勝利だ。二人は大統領候補の好感度調査で首位に立った。これを足掛かりに、野党は一方では院内外での強硬な闘争を強化し、それと同時に大統領選勝利への自信を高めるという、二つの方向からの攻勢を展開できるようになった。

 一方、選挙後には政権交代後初めて、政党支持率と大統領の国政評価に大きな変化が生じており、いくつかの調査ではデッドクロスさえ見られた。つまり、国民の力の支持率が民主党を追い抜き、大統領の国政に対する不支持が支持を上回ったのだ。韓国ギャラップの調査や全国指標調査では、民主党の優位と大統領への支持が持続しているものの、数週間にわたり下落を続けているのは(他の調査と)変わらない。

 これに対する原因の診断によって、責任の所在や今後の対策も変わってくる。「アイデンティティ重視論」は、与党が検察改革などの使命を疎かにしたため、コア支持層が背を向けたとみているのに対し、「包容重視論」は、過度な党派性が中道層や周辺支持層を遠ざけたという見方を示している。筆者は、両側面から同時に、しかし相反する理由で支持が低下しており、したがって問題の解決は、過激なアイデンティティの追求と無原則な包容性の追求をともに排除しつつ、両者を融合させることができる政治力にかかっていると考えている。

 その根拠はこのようにみることができる。世論変動の最初の引き金は、選挙管理委員会の事態とそれに続く大規模な抗議デモだった。世論悪化の初期段階において、韓国ギャラップの調査では「選挙管理委員会の問題/不備・不正選挙」が大統領に対する不支持の最も大きな理由だった。ところが、時間が経つにつれ、より複合的な状況が表れた。

 主な要因をいくつかの類型に分けて考えることができる。第一が選挙管理委員会の問題だとすれば、第二は経済や庶民の暮らし、ウォン安など体感景気に関する項目、第三は不動産政策、伝貰(契約時に高額な保証金を貸主に預けることで月々の家賃がゼロになる制度)や月払いの賃貸住宅、保有税など住居・資産の問題だ。第四に、公訴取り下げの推進、「道徳性の問題」が大きな理由として挙げられ、第五は戒厳令・検察など重要なイシューにおける問題のある人物の登用、最後に党と大統領府の対立や民主党内の内紛がある。

 大統領と民主党の支持率が大幅に下落した層の特性も様々だ。選挙直後は20〜30代、首都圏、中道層だったが、その後は40〜50代、湖南(全羅道)、ホワイトカラー、政治に関心が高い層でも大幅に下落した。与党支持層の中心と周辺の両方で、それぞれ異なる理由から離脱したという意味だ。例えば、公訴取消特別検察法を推進すれば周辺の支持層が離れ、国民統合を理由に戒厳令に賛成していた人物を登用すれば、中核の支持層が離反する。

 しかし、以上の要因は選挙管理委員会の問題を除けば、今回の選挙後に今に始まったことではない。では、なぜ支持率が選挙後に急変したのだろうか。一つの仮説は、支持率の低下がひとたび始まると、それまで潜在していた不満が不支持へと変わる「同調効果」だ。もう一つの可能性は、攻撃的な反応による「悪循環効果」だ。中道層の離反を防ぐために強硬派を攻撃すればコア層が離反し、コア層を守るために統合派を攻撃すれば中道層が離反するという具合だ。最後に、否定的な要因が強まった一方で、それを相殺する肯定的な要因が欠けていたためかもしれない。選挙後からメガプロジェクトの発表前まで、政府には多くの国民の関心を集め好評を得るような積極的な政策行動がなかった。

 このような支持率低下の要因やメカニズムの多くは、大統領・大統領府と民主党の意志で変えることができるが、それを実践できるかどうかは不透明だ。さらに、与党の成否は野党の未来にも影響を及ぼす。与党への支持が弱まる中、その反動で支持率の差を縮めた「国民の力」もまた、刷新への道が閉ざされた。国民の力は今回の選挙を機に大きな変化を遂げると予想されていたが、予期せずオリンピック公園で星条旗を翻しながら政権退陣闘争を行うことになった強硬派にとっては、もはや退く理由がないだろう。また、国民の力の支持層の一部では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)擁護、不正選挙、中国への属国化、大韓民国の共産化といった過激な信念がさらに強まったはずだ。

 内乱の完全な克服と民主主義の再確固化という目標から考えると、現状は与野党ともに希望の光が薄れた行き止まりの路地のようなものだ。この不安定な政局がどこへ向かうかによって、2028年の総選挙と2030年の大統領選挙、そしてその後の国の運命が変わることになるだろう。「ユン・アゲイン」なのか、それとも、進歩と保守が共に革新しながら築き上げる大韓民国の飛躍なのか。その岐路に立たされている。

//ハンギョレ新聞社
シン・ジヌク|中央大学社会学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1266135.html韓国語原文入力:2026-07-01 05:00
訳H.J

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