中国の習近平国家主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問する。習主席は今年初の海外訪問先として北朝鮮を選び、朝中関係の全面的な回復を示すと同時に、北朝鮮の核問題や朝鮮半島問題に対する中国の影響力を確認する機会とするものとみられる。
中国国営の「新華社通信」は5日付で、中国共産党中央対外連絡部の報道官発表を引用し、習主席が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の招待を受け、8~9日に北朝鮮を国賓として訪問する予定だと報じた。金委員長と習主席は、昨年9月初めに北京で開かれた戦勝節80周年記念行事で会談して以来7カ月ぶりに再会する。習主席の訪朝は、2019年6月以来7年ぶりとなる。
習主席が今年初の海外訪問先として北朝鮮を選んだのは意味深長だ。今年1月から6月初めにかけて、李在明(イ・ジェミョン)大統領をはじめとする世界22カ国の指導者が北京を訪れる中、習主席の最初の海外日程がどこになるかに注目が集まってきた。専門家らは、今回の習主席の訪朝により、コロナ禍とウクライナ戦争を経て冷え込んでいた朝中関係が全面的に回復するきっかけになると予想される。
一部では、習主席が先月、米中・中ロ首脳会談を相次いで行った後に金委員長と会うことは「経過報告」のように映る恐れがあり、早期の訪朝の可能性は低いという見方もあった。にもかかわらず、習主席が早期に北朝鮮へ直接向かうのは、北朝鮮に対する影響力の拡大に向けた戦略的な選択とみられる。国際情勢の不確実性が高まる中、中国としては北朝鮮との関係を回復・安定させ、外部からの変数を減らす必要がある。ウクライナ戦争を経て経済・安全保障面で緊密化する北朝鮮とロシア関係を牽制し、管理しなければならないという課題もある。
イラン戦争以降、北朝鮮の核問題および朝鮮半島問題が全面化する可能性も念頭に置かなければならない状況だ。習主席は9月24日に米国を国賓訪問する予定であり、米中間の重要議題として北朝鮮問題が急浮上する可能性がある。北朝鮮も中国も、朝米首脳間の対話が再開される状況に備える必要がある。特に中国としては、この問題が米中間の対立要因となり得るため、北朝鮮に対する影響力を確認し、強固に整えていく必要がある。
しかし、中国の思惑通りに北朝鮮や朝鮮半島問題に関する議論を進められるかどうかは不透明だ。北朝鮮官営の「朝鮮中央通信」は4日付で、金委員長が前日、新たに稼働した核物質生産工場を現地指導し、核戦力の強化への意志を改めて明らかにしたと報じた。習主席の訪朝が迫る中、「非核化はない」というメッセージを強調したものであり、関連議題が朝中首脳会談のテーブルにあがることを阻止するための動きという見方もある。中国は北朝鮮に対する「非核化」への言及を避けているが、同時に北朝鮮政策の連続性と安定性を維持すべきという立場を示している。
北朝鮮と中国は今回の会談を通じて、二国間関係の実質的な回復と協力強化を進めるものとみられる。今年は朝中友好協力および相互援助条約(朝中友好条約)締結65周年(7月11日)にあたる年でもある。これを名目に、朝中協力の項目や方策をさらに具体化するかに注目が集まっている。中国が関心を示してきた豆満江(トゥマンガン)を通じた東シナ海進出の問題や朝中国境地域の開発協力などが議題として取り上げられる可能性がある。昨年9月に開かれた朝中首脳会談でも、ハイレベル交流や戦略的対話、経済協力などを強化することで合意し、関係改善の突破口を開いた。これに伴い、今年に入って朝中間の旅客列車の運行および航空便の運航が再開されたが、急速に進むと予想されていた新鴨緑江大橋の開通や、中国からの団体観光客の訪朝許可などの問題はまだ解決されていない。