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トランプは戦争を知らない【寄稿】

登録:2026-04-24 08:01 修正:2026-04-25 07:27
ホルムズ海峡の地図と、3Dプリントで作製した米国のトランプ大統領のミニチュアモデル/ロイター・聯合ニュース

 1991年、父ブッシュ大統領の米軍が、クウェートに侵攻したイラク軍に勝利を宣言するまでに要した時間は42日だった。息子ブッシュ大統領は2003年、米軍がイラクに侵攻してから43日で勝利を宣言し、主要な戦闘も終了した。しかし、イランでの戦争において米国は、8週間が過ぎても勝利宣言ができていないだけでなく、今後も短期間で勝利を収めることも難しいように思える。とりわけイランのイスラム革命防衛隊は、降伏どころか「耐えてさえいれば勝てる」という認識で、より強固に結束している。その理由を見てみよう。

 まず、現在中東に配されている米軍は、1991年や2003年とは異なり、戦争の目標を達成する「決定的作戦」能力が失われた半端な軍隊だ。米軍はハメネイ政権の首脳部を除去し、イランの核施設と軍事拠点を精密に攻撃したと誇っている。しかし、イランの政権の転換や中東の秩序の再編に向けた決定的な作戦は、地上戦や上陸戦である。トランプ大統領は先月、強襲揚陸艦(LHA/LHD)や輸送機(V-22オスプレイなど)を用い、数千人規模の海兵隊兵力で沿岸の戦略的要衝を占拠しようとした。しかし、狭い海域ではイランの地対艦ミサイルやドローンの標的になりやすく、沿岸を掌握してもイラン内陸から浴びせられる砲撃やミサイルを防御しながら統制権を維持するのは困難だという結論に至り、後退した。今や米国は、政治的、経済的に巨大な負担となる地上部隊の動員が難しくなっている。

 2つ目の致命的な問題は、先端防衛システムを突破したイランの低コスト反撃能力だ。イランは一日でドローン「シャヘド」を最大400機生産できる。一方、ロッキード・マーティンのミサイル「パトリオット(PAC-3)」の年間生産量は600発ほどにすぎない。一日に2発にもならない計算になる。3万ドル(約480万円)のイランのシャヘド-136ドローン1機を撃墜するには、スタンダードミサイル(SM-2)2発だと420万ドル(約6億7000万円)、パトリオット2発だと800万ドル(約12億8000万円)かかる。これは、冷戦以降の米国が高速で高性能なミサイルの脅威にのみ備えるという旧時代的な防衛概念を持っていたからだ。低価格ドローンを大量投入する戦術が存在しなかった時代に設計された防衛システムの、必然的な限界である。4年目に突入したロシアとウクライナの戦争がすでに教訓を残しているにもかかわらず、米軍は現代戦に適したドローン防衛システムが整備できていないうちに戦争を開始した。その結果、米軍基地や湾岸の同盟国に安全を保証できず、イランの反撃を許すという軍事的失敗を余儀なくされた。

 3つ目の致命的なぜい弱性は、機雷除去能力(掃海戦力)の空白と「航行の自由」の虚像だ。米海軍は過去30年以上にわたり、掃海艇の運用を縮小しつつ、自律型水中ドローンなどの遠隔機雷除去技術に投資を集中させてきた。問題は、この水中ドローンがまだ実戦で検証されていないことだ。このことについて米海軍のマシュー・ヒップル中佐は、米海軍研究所(USNI)の機関紙への寄稿で、自国海軍を「三流の機雷戦国」だと嘆いている。米国外交政策研究所のエマ・ソールズベリー博士は「NATO(北大西洋条約機構)全体でみると卓越した掃海能力があるが、どれも米国のものではない」と指摘している。米国は3つの空母戦団と数十隻のイージス級駆逐艦をこの海域に派遣したものの、長さわずか160キロの小さなホルムズ海峡を開放できていない。韓国海軍は、速くて小型のチャムスリ級高速艇を主軸として、不利な地形で200キロを超える西海の北方限界線(NLL)を30年にわたり管理している。韓国海軍にできることが、なぜ米軍にはできないのか。米軍は沿岸域戦闘艦や小型高速艇、ステルス艦や水中ドローンのような、複雑な水域の特性に適した有人・無人戦闘能力を備えていなかった。実用的な実戦能力ではなく、コストパフォーマンスの低い大型兵器プラットフォームに偏った結果だ。今や米海軍の語る、世界物流の動脈を守るという「航行の自由」は、機雷やドローンを前にしてむなしい言葉にすぎない。

 この3つのぜい弱性が組み合わさることで、米国はイラン革命防衛隊にひとつの戦略的な確信を植え付けた。地上戦のような決定的な作戦を遂行できない米軍は、ドローンを防ぐ現代的な兵器システムを持っておらず、長期戦を遂行しうる弾薬が枯渇しつつあるうえ、沿岸戦闘能力も欠如している。加えて、米軍の弱点を補うべきNATO、日本、韓国、オーストラリアなどの同盟国は米軍に背を向けている。さらに致命的な弱点は、米軍の総司令官であるドナルド・トランプが戦争を知らないことだ。米国が戦争で勝利する道は見えない。

//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンデ|正義党元議員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1255672.html韓国語原文入力:2026-04-24 05:00
訳D.K

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