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もうひとつの「エアガン」におびえる韓国の移住労働者…「事業所変更の自由を」

登録:2026-04-10 09:14 修正:2026-04-10 10:08
移住労働者が自身の状況を表現するため、鉄の鎖を体に巻きつけて抗議行動を行っている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「今回のように被害があらわになる事件でないと、証明は困難です。心理的ハラスメントは特にそうです」

 韓国の法律事務所で働き、ウズベキスタンからの移住民の相談に応じてきたアブドゥルさん(26歳)は、自身の運営するテレグラムチャンネルで8日、タイ出身の移住労働者が雇用主にエアガンで体内に空気を注入されて臓器が損傷した事件に関する記事を共有しつつ、「みなさんも同じような経験をしたことがありますか」と問いかけた。この投稿には被害を証言するコメントが次々と寄せられた。あるウズベキスタン人は「韓国は今も私たちを安価な労働力としてしか扱っていない」と語った。

 ハンギョレは7日、京畿道華城市(ファソンシ)のメッキ企業の事業主がタイ出身の労働者Aさんのこう門からエアガンで空気を注入し、臓器を損傷させたと報じた。報道を受けて専任捜査チームを編成した警察は、事業主を傷害容疑で立件したうえで、出国禁止措置を取った。李在明(イ・ジェミョン)大統領も徹底調査を指示したことで、社会的関心が高まっている。

 アブドゥルさんは「実のところ、このようなハラスメントはざらにある」と語った。実際に、移住労働者へのハラスメントは昨日今日にはじまった問題ではない。昨年7月には全羅南道羅州市(ナジュシ)のレンガ工場で、スリランカ出身の労働者がフォークリフトに積まれたレンガの山にビニールで体を縛られ、韓国人の同僚からいじめを受ける様子が、動画で公開された。今年3月には忠清北道清州市(チョンジュシ)の工場で、ミャンマー出身の労働者が暴言にさらされ、食事すら満足に提供されていなかったことが明らかになった。雇用労働部の資料によると、移住労働者に対する職場内でのハラスメントの通報件数は、2020年には65件だったが、2024年には225件に増加している。

全羅南道羅州市のレンガ工場で、韓国人労働者がスリランカ人労働者をフォークリフトの荷物に縛りつけて移動している様子=移住労働者ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 統計に表れないハラスメントは、現場でははるかに多いと言われる。雇用許可制は、移住労働者が事業主の承認を得ずに職場を変更することを認めていない。職場を移る自由のない移住労働者の立場からすると、ハラスメントを受けても抗議するのが難しい構造だ。昨年8月には京畿道安山市(アンサンシ)の金属工場で、ネパール出身の労働者が暴力に耐えられず事業所の変更を求めたところ、事業主に「変更の承認はできないから不法滞在しろ」と言われ、賃金を未払いにされていたことも判明している。その後、ハラスメントはさらにエスカレートし、現場の管理者が移住労働者の顔に熱いコーヒーをかけることさえあった。

 このような構造の中では、むしろ正式な制度の下で働いている移住労働者の方が、容易に暴力にさらされてもいる。未登録の移住労働者は事業所を移れるが、雇用許可制の下では定められた事業所でハラスメントに耐えながら働かなければならないという状況が生じるからだ。「国がむしろ暴力を助長している」と批判される理由はここにある。抱川(ポチョン)移住労働者センターの代表を務めるキム・ダルソン牧師は、「国が作った法律や制度が事業主と移住労働者の関係を徹底した主従関係にしている構造の中では、このような現象が日常的に起こらざるを得ない」として、「事業主個人の問題として片付けるのではなく、構造を変えるべきだ」と語った。

 雇用労働部は羅州の「フォークリフト虐待」事件が明るみに出て以降、雇用許可制の移住労働者に事業所変更権を与えることを検討している。しかし、これも入国後1~2年間は事業所の変更を制限すべきとする主張の方が優勢だという。法務法人ウォンゴクのチェ・ジョンギュ弁護士は「職場離脱の自由は一日たりとも制限できない普遍的な人権」だとして、「入国後1~2年間も事業所変更を認めないのは強制労働と変わらない」と述べた。

イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1253433.html韓国語原文入力:2026-04-09 15:21
訳D.K

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