ドナルド・トランプ米大統領がイランへの地上軍投入の可能性に触れるなど、強硬な姿勢を保っているが、戦力の構成や政治的・法的負担を考えると、米国の地上軍派遣の可能性は低いというのが大方の予想だ。実際の実行計画というよりは、圧力をかける手段に近いものとみられる。
現在、中東地域に展開されている米軍の戦力は圧倒的だが、徹底的に海軍と空軍を中心に構成されている。戦略国際問題研究所(CSIS)と米海軍の資料によると、現在イラン近辺には航空母艦2隻と水上戦闘艦16隻など、大規模な艦隊が集結している。2003年のイラク戦争開戦時に5つの空母艦隊が投入されて以来、最大規模の海上戦力だが、上陸艦や海兵隊、特殊作戦部隊、長期空中作戦を支える兵站能力はほとんど展開されていない。
戦略国際問題研究所のマーク・キャンシオン上級顧問とクリス・パク研究員は最近の報告書で、「現在中東に配備されている米軍の戦力は懲罰的な空爆を行うには十分だが、1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争のような大規模な地上戦を遂行するには海兵隊や特殊作戦部隊、これを支える兵站能力が不足している」と分析した。
イランの広大な「資源」も地上軍の投入をためらわせる要因だ。イランは人口や領土、軍事力の面で、過去に米国が相手にしてきたイラクやシリアとはかなり異なる。人口9300万人、面積164万平方メートルのイランは、イラクに比べ面積は3〜4倍、人口は2倍以上。地上軍を投入する際には、占領・統制すべき空間と前線が広大で、駐屯兵力や兵站が指数関数的に増加する可能性がある。米統合参謀本部内部でも、地上軍を投入した場合に大規模な死傷者が発生し、アフガニスタンやイラクのように制御不能の長期戦に突入する可能性があるとの懸念が示されている。
米国の長期戦能力も過去より低下した。最も致命的な問題は、防衛用兵器、つまり迎撃ミサイルの在庫不足。チャールズ・ウォルド元米国欧州司令部副司令官は「フォックスニュース」に「攻撃用の従来型弾薬は補充可能だが、パトリオット、SM-3、イスラエルのアロー・システムのような防衛用兵器は常に不足している」と述べた。昨年、イスラエルとイランの「12日戦争」の際、米軍はイランの弾道ミサイルとドローン攻撃を防ぐために、わずか数日間でTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)の迎撃ミサイル150発以上を使用した。これは米軍が全世界に備蓄している量の約4分の1に相当する。
消費のスピードに比べ、生産のスピードははるかに遅い。米国のパトリオットミサイルPAC-3 MSEの年間生産量は約600〜650発であり、THAAD迎撃ミサイルの場合、前年度の購入量は11発、今年度分も12発に過ぎない。イランが現在のようなレベルのミサイル攻撃を数日間続けると、米軍の迎撃ミサイルの在庫が深刻なレベルで枯渇する可能性があると懸念されている理由だ。韓国に配備されたパトリオットやTHAADなど、在韓米軍の防空資産が転用される可能性もある。
戦略国際問題研究所のセス・ジョーンズ防衛・安全保障部門所長は先日、米国の公共ラジオ「NPR」のインタビューで「現実的にイスラエルも米国も数週間から数カ月にわたる戦争に耐えられるだけの十分な攻撃・防衛用弾薬を保有していない」と指摘した。
何よりも政治的な負担が大きい。トランプ大統領は2016年の大統領選挙以来、一貫して「無謀な政権交代戦争に反対」、「終わりのない戦争の終結」を掲げ、自らを「戦争を終わらせる大統領」と位置づけてきた。米国内の世論や議会の動きも好意的ではない。民主党はもちろん、一部の共和党議員の間でもトランプ大統領が議会の事前承認なしに大規模な軍事行動に出る慣行を問題視し、戦争権限法などを通じて抑制すべきだという声があがっている。ただし、従来の外交ルールや常識を無視し、あからさまに自国の利益を追求してきたトランプ大統領の行動を考えると、地上軍投入の可能性も排除してはならないという見解もある。