韓国国防部の直轄部隊である国軍心理戦団が2023年10月から昨年の12・3非常戒厳直前まで対北朝鮮ビラを密かに飛ばしていたという証言が、当時対北朝鮮ビラ散布作戦に参加した将兵によってなされた。尹錫悦政権時代に民間団体だけでなく軍当局でも北朝鮮にビラを飛ばしたという事実は一部で報道されたが、作戦に参加した将兵の具体的な供述が出たのは初めて。心理戦団は、有事の際に北朝鮮へのビラ散布や拡声器放送などの心理戦を遂行する部隊だ。
2023~2024年に心理戦団で軍服務をしたAさんは30日、ハンギョレの取材に応じ「2023年10月中旬、最前線で部隊員とともに北朝鮮にビラを積んだ大型風船10個余りを初めて北に飛ばした」と話した。Aさんの所属した部隊はその時から2024年11月まで、2カ月に1、2回ほど作戦を遂行したという。その後は作戦ごとに風船を100個ほど飛ばしたが、各風船に10キロほどのビラをぶら下げたというのがAさんの証言だ。
心理戦団の対北朝鮮ビラ散布作戦は、2023年9月26日、北朝鮮に向けてビラ散布行為を規制する対北ビラ散布禁止法に対して憲法裁判所の違憲決定が出た後、本格化した。Aさんは「憲法裁の決定前には後方でビラ散布の訓練をしていたが、その年の9月からは軍事境界線と隣接した最前線基地で訓練を始め、訓練の回数も増えた」と話した。Aさんは、実戦のような訓練を1カ月ほど行い、翌月10月に実際に北朝鮮に向けてビラをぶら下げた風船を飛ばしたと語った。
Aさんの説明によると、心理戦団は当時、軍事地図に北朝鮮の軍事基地、空港、一定規模の人口が居住する都市の座標を描いておき、風向きと風速などをリアルタイムで計算し、最も適した地点を散布地域に定めた。Aさんは「一番遠い所では東海側の元山(ウォンサン)までビラを飛ばしもした」と述べた。
心理戦団はビラ散布の事実が明らかにならないよう、民間団体が北朝鮮にビラを飛ばす日を選んで作戦を行った。Aさんは「部隊員は名前と所属部隊が表示された軍服を脱ぎ、特殊作戦要員が着る黒い服に着替えた後、午後9~11時ごろに作戦に投入された」と語った。心理戦団はAさんの部隊だけでなく中部・西部戦線一帯の各所でビラ風船を飛ばしたという。
心理戦団の対北朝鮮ビラ散布を追跡してきた共に民主党のプ・スンチャン議員は「尹錫悦政権は平壌(ピョンヤン)への無人機浸透だけでなく、対北ビラでも北朝鮮を刺激し、戒厳宣布の名目を作ろうとしていた」と述べた。