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腰までの洪水の中、料理を届けた配達員「私は無事だけど…配達の仕組みの問題」=韓国

登録:2025-08-06 08:14 修正:2025-08-06 09:27
インスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 突然の豪雨で道路が浸水して腰まで水につかる状況になっても、飲食店から料理を受け取って配達した配達員が、オンラインで話題になっている。ネットユーザーらは「すごい」と称賛しつつも安全問題を指摘しており、この配達員は「配達プラットフォームの構造的問題」を訴えている。

 光州(クァンジュ)広域市でサラダの店を営むKさんは今月4日、インスタグラムに「水が腰まで来ているのに配達するものをピックアップしていった伝説のライダーさんを探しています」と動画付きで投稿した。

 動画には、先月17日の豪雨時にKさんの店にサラダを受け取りに来た配達員の姿が映っている。配達員は道路が水につかり泥水が腰まで来ているにもかかわらず、道の向かい側から店までやって来た。料理を受け取ってからは、料理が濡れないように肩の高さまで持ち上げ、再び浸水した道路を渡って行った。この配達員はオートバイで料理の配達を完了したという。

 Kさんは「とても感謝しており、必ず探し出したい。この動画の中のご本人は(サラダの店の)VIPとしてお迎えする」と述べている。

 これに配達員本人が反応した。配達員はコメントで「7月17日、光州市に400ミリほどの豪雨が降った日に、全南大学正門前であった出来事」だと自ら説明した。そして「ピックアップはしなければならないのに、道路の浸水と規制でバイクでの通行がまったく不可能になっていたため、腰まで水が来ている道路を渡らざるを得なかった」、「あの時は流れが少し強くて注意していないと流されるほどだったし、警官からももう渡って来るなと言われたが、私はお客様に料理を渡すために再び渡った」と語った。配達料は7000ウォン(約740円)だったという。

 配達員は続けて「当然やるべきことをやったと考えているが、知人が動画を送ってくれてびっくりした。私は無事に生きている」と付け加えた。

インスタグラムより//ハンギョレ新聞社

 ネットユーザーたちからは、「すごい」と配達員を称賛しつつも懸念を示すコメントが多く寄せられている。「安全不感症だ」、「あれほどなら配達取り消しに変更すべきだったのではないか」、「無謀」、「次はやらないでほしい。本当に危ない」など、安全の問題を指摘するコメントが多い。この動画は投稿からわずか一日後の5日午後1時30分現在で閲覧数が750万回を記録し、2000を超えるコメントが付いている。

 これを受け、サラダ店の店主のKさんは当時の状況の詳しい説明を追加。Kさんは「最初の浸水が落ち着き、一度水が引いた状態だった。ある程度状況が落ち着いたようだったので配達営業を再開した」と語った。続けて「体が濡れたのでしばらく席を外していた約20~30分の間に、最初よりはるかに多くの雨水が押し寄せてきていた」として、「(その時)ライダーさんが川(?)の向こうに到着していて、まさかと思ったが、本当に渡って来た」と説明した。Kさんは「浸水の時に危険を冒して配達してくださったライダーさんがずっと心に引っかかっていた」として、「感謝の気持ちを伝えたくて動画を上げた」と付け加えた。

 配達員も再度説明した。コメントで「多くの方々が心配と関心を寄せてくださって、私もあの日を振り返っていろいろな感情が湧いた」と語った。配達員は「私はそもそも道路が浸水していることを知らずにコールを取った。水が引いて清掃まで行われているのを見て、道路が正常化したと思ってピックアップコールを受諾した」と説明した。そして「でも現場に到着した時、いきなり再び道路が水につかっていた」、「すでに遠くからコールを取ってやって来たあの状況で、配達を放棄することはできなかった」と語った。

 続けて「これは個人が無謀なのではなく、プラットフォームの構造的な問題のせい」だと強調しつつ、「危険な状況でもコールが割り振られ、取り消し時にはペナルティーが科されるシステムがまだ存在する」と指摘した。

 そして「こういった構造の中で働くライダーが直面してる現実もみてほしい」として、「この行動に命をかけるほどの価値がないことは、私もそうだし、ライダー自らが誰よりもよく分かっている」と述べた。

 配達員は「にもかかわらず私たちはプラットフォームとお客さんの間で、ひたすら時間通りに料理を渡すために最善を尽くしている」として、「現場を生きていくライダーたちの現実を共に考えてみてほしい」と付け加えた。

ソン・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1211662.html韓国語原文入力:2025-08-05 13:48
訳D.K

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