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新車シェア1%台への下落にも余裕を見せていた韓国GM…高まる不安

登録:2025-05-19 19:58 修正:2025-05-20 08:46
2021年、シボレーの「スパーク」がカナダのディーラー店に並んでいる=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 韓国GMは今年第1四半期(1~3月)、韓国市場で傘下ブランドのシボレー・キャデラック・GMCを合わせて4108台を販売した。昨年同期(6919台)に比べ41%の減少だ。10年前まで10%前後だった新車市場のシェアは、いつの間にか1%台へと急落した。第1四半期の傾向が続けば、今年の販売台数は2万台を下回る公算が大きい。市場シェアも1%台以下に崩れる危機だ。

■危うい1%台のシェア…余裕見せる韓国GM、なぜ?

 急速に内需市場から押し出されている状況だが、韓国GMの対応は緩い。アグレッシブな新車発売計画や値下げなど、状況を打開するこれといった対策が見当たらない。韓国GMのヘクター・ビジャレアル社長が今年2月、シボレーソウル新村代理店を自ら訪問し、「GMの韓国事業場は今年の販売成長を目標に」すると言い、グスタボ・コロッシ副社長が「今後も引き続き新車を発売する」と述べたのがすべてだ。

 このような「余裕」には理由がある。韓国GMは昨年、1兆3567億ウォン(約1400億円、連結基準)の営業利益を上げた。売上も約5%増えた。内需販売は減っているが、韓国の富平(プピョン)と昌原(チャンウォン)工場で生産する車のほとんどが運ばれる米国で販売が増えたおかげだ。営業利益率は前年度に続き9%台を維持した。営業外損益を反映した純利益は2兆2077億ウォン(約2300億円)で47%増加した。2022年に黒字転換に成功した後、収益性が軌道に乗った様相だ。

 輸出増加だけに頼った結果ではない。韓国GMは数年間にわたり構造調整と費用節減を断行した。2018年に群山(クンサン)工場を閉鎖し、2022年には富平第2工場を閉鎖した。稼働率が低調だった二つの工場を整理することで固定費を減らすための措置だった。代理店に支給していた各種支援金の費用を節約するために販売ネットワークも縮小している。昨年、シボレー代理店を閉店したある店主は「韓国GMから廃業支援金の名目で1億6千万ウォン(約1660万円)の支援を受けた」と話した。その結果、代理店数は2018年の全国280カ所から現在は72カ所に急減した。2023年からは自発的退社プログラムを通じて韓国GM本社の人員も削減している。

 収益性の低い軽自動車や競争で劣勢に立ったセダン型乗用車市場からは完全に手を引いた。セダンの「クルーズ」を2018年に生産中止し、発売後2年間で11万台近く売れるほどの「売れっ子」だった軽自動車「スパーク」とセダンの「マリブ」も2022年に相次いで生産中止した。2018年に19モデルを販売していた韓国GMは、今は韓国で7モデルだけを販売している。新車を発売し続け、消費者の関心を引く一般的な自動車メーカーの営業方式からはかけ離れている。よく売れるスポーツ用多目的車(SUV)に集中するという米国本社の戦略によるものだったが、現代自動車と起亜に韓国市場を明け渡した格好になった。

 しかし、韓国GMは気に留めない様子だ。シボレーの普及型モデルが消えた穴を高級車ブランドであるキャデラックのSUV新車で埋めたことからは、内需市場シェアの拡大よりは収益性を重視する戦略を垣間見ることができる。

■ゼネラルモーターズの世界経営戦略の変化

 規模を軽くし、収益性を最優先するこのような基調は、GM本社の経営戦略と軌を一にする。GM本社は2009年のグローバル金融危機当時、破産後に公的救済を通じて回生し、1年余りの間に米国だけで工場8カ所を閉鎖する構造調整を断行した。生死の岐路から脱したGMは2013年、メアリー・バーラ現最高経営者(CEO)の就任後、矛先をグローバル市場に向けた。

 欧州、ロシア、インド、南アフリカ、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、コロンビア、エクアドルなどの市場から撤退し、全世界に散在していた工場も大量に整理した。2013年末、GMは25カ国に工場を置き、59カ国の市場に進出していた。昨年末、工場を持つ国は7カ国に、進出市場は33カ国に減った。「世界最大の自動車メーカー」というタイトルを果敢に脱ぎ捨てたのだ。バーラ氏はかつてブルームバーグ通信とのインタビューで「GMはすべての場所ですべての人々のためにすべての車を提供した時もあった」として「だが、そのような戦略は勝つことに適合した戦略ではない。我々は勝つためにここにいる」と述べたことがある。

 バーラ氏が言う勝利への道は、電気自動車(EV)と自動運転技術にある。未来の収益源になる二つの分野に長期間投資するためには、他の事業での損失に耐える余裕がなくなるわけだ。韓国GMが韓国国内での新車発売に極度に慎重な点や、引き続きコスト削減を追求するのもこのような脈絡からだ。

■トランプの関税政策、韓国GMの先行き不透明感

 そんな韓国GMは最近、暗礁に乗り上げた。米トランプ政権が輸入車に関税を課し、「対米輸出に最適化させてきた」収益性に打撃を受けることになったのだ。バーラ氏は1日(現地時間)に行われた第1四半期実績説明会で、関連の質問に対して「主要貿易国との交渉がどのように進められるかを見守っている」として「米国に余剰生産設備があり、これを早く活用することができる。(中略)変化する環境に合わせて賢明に資本を配置することを投資家と株主に約束する」と述べた。

 韓国GMに生計を依存する労働者は不安にならざるをえない。ただでさえ内需販売が減り、代理店の店主らと販売職の労働者は生計を立てるのが厳しくなるか、または職を失いもした。整備工場も仕事が途絶え、他ブランド車の整備を並行せざるを得ない状況だ。金属労組韓国GM支部のオ・ミンギュ諮問委員は「韓国GMが競争力ある新車の国内発売など内需販売拡大のための実質的対策を出さず、撤収の可能性に対する疑問が拭えない」とし、「韓国で事業を維持することを産業銀行と約束した期限である2027年末以後にも生産物量を配分し、事業の意志をはっきりと明らかにすべきだ」と語った。

ナム・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/1198050.html韓国語原文入力:2025-05-18 19:06
訳J.S

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