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「トランプ大統領、来年の中間選挙の無力化試みる可能性ある」

登録:2025-05-02 07:52 修正:2025-05-02 22:46
3月3日、米国のドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスのルーズベルトルームで演説している=ワシントン/AFP・聯合ニュース

 先月29日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領の2期目就任100日を迎え、米国内では権力分立と民主的手続きの根幹が脅かされているという警告が強まっている。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で公共政策学と政治学、法学を教えるマーク・ピーターソン教授は、先日のハンギョレとの動画インタビューで「トランプ政権は民主主義の制度的枠組み自体を揺さぶっている」としたうえで、「次の中間選挙自体を無意味にさせようと試みる可能性がある」として、懸念を示した。

米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校で公共政策学と政治学、法学を教えるマーク・ピーターソン教授=本人提供//ハンギョレ新聞社

 ピーターソン教授は、トランプ大統領が今回の選挙結果を「絶対的権力の委任」と誤解していると述べた。ピーターソン教授は「トランプ大統領は得票数の過半数を得られなかったし、大統領の政党(共和党)も同様に、下院で1930年以降では最も小さい議席数差で多数党になった。それにもかかわらず、トランプ大統領はこの勝利が(歴史的な大勝利であるため)政府全体を根本的に変革する正当性があると主張している」として、「選挙の勝利を無制限の権限と解釈し、議会、裁判所、メディア、非営利機関などの抑制と均衡のためのすべての装置を揺さぶっている」と批判した。ピーターソン教授は「結局のところ、手続き的・制度的な限界を無力化し、『大統領の意志』を社会全般に優先させる手法だ。これは憲法が保障した権力分散の原則を根本的に危うくする」と強調した。

 トランプ大統領は「憲法第2条」が自身に無制限の権限を付与していると主張する。ピーターソン教授は「憲法の精神の深刻な誤読」だと反論した。「憲法第2条は行政権を与えるが、これは立法府と司法府の抑制と均衡の中だけで行使されなければならない」として、「トランプ大統領はこれを無視し、『私が勝ったのだから、思い通りにすることができる』というかたちで理解している」と指摘した。また、「トランプ大統領が選出されたという理由だけで裁判所より優位にあると主張するのは、抑制と均衡、権力分立、二院制の立法府、独立した司法府をすべて無視する、きわめて衝撃的な解釈」だと補足した。

 トランプ大統領は先月25日までに合計137の大統領令を発令した。これは、同時期のバイデン大統領の約3倍、自身の初めての任期よりも100以上多い数だ。教授は「すべての大統領が大統領令を用い、ときには裁量権の境界を試すことはおかしなことではない。実際に歴史的にも大統領令は、議会多数派が推進しようとした政策を進めることに貢献してきた」と述べた。また、「『大統領令=権力乱用』という認識は正しくない」と明らかにした。

 しかし教授は「現在異なる点は、トランプ大統領が発令した多くの大統領令が、既存の法律の範囲を超え、憲法を違反しているということだ」と指摘した。「特定の個人や機関を政治的に狙い、大統領の権限を乱用する事例は特に深刻だ」として、「トランプ大統領は、法的に支援されることを望む人々に弁護サービスを提供した主要な法律事務所を機能停止状態にしようと試みた。これは、米国の司法システムの根幹である『誰でも法的保護を受ける権利』に正面から反すること」だと批判した。

 弱体化した共和党がこのようなトランプ大統領の動きを支えているとも指摘した。「かつてだったら、トランプ大統領がこのように行動したとき、共和党の人たちが抵抗しただろう」。教授は「マイク・ジョンソン下院議長は、単なる政党指導者ではなく、憲法に明記された大統領職の継承順位の主体だ。しかし現在、ジョンソン下院議長は下院議長にふさわしい行動をとらず、大統領の特別補佐官のように動いている」と批判した。

 教授が最も懸念するのは、トランプ大統領と同政権が、2026年の中間選挙を無意味にさせようと試みる場合だ。「トランプ大統領が大統領令を通じて、選挙過程と有権者登録資格を掌握しようとする場合、市民権の証明を要求されている数百万人が、有権者登録ができなくなる可能性がある。これは、米国の選挙制度に根本的な変化をもたらすことになるだろう」と教授は警告した。パスポートがなかったり、出生証明書を簡単に取り寄せることができない人たち、結婚などによって出生証明書の姓が現在の姓と変わった場合などに該当する人たちが、有権者登録ができなくなる可能性があるということだ。これは、実質的には特定集団の投票権を剥奪する結果につながることになりうる。

 ピーターソン教授は「米国憲法は、投票と選挙管理を州政府の権限として明確に規定しており、実際の選挙の執行は地域単位である郡政府が担当する。これが米国民主主義の根幹」だとして、「連邦政府が自ら選挙情報を収集・統制し、有権者登録を難しくさせ、投票所への接近を制限したり、投票集計を妨害するのであれば、これは米国の民主主義を深刻に傷つけることになるだろう」と指摘した。

 教授は最高裁の役割に期待をかけた。「年末再びこの問題を話すことになるとすれば、最高裁がトランプ大統領をけん制するきっかけを用意することもできる。世論が悪化すれば、トランプ大統領が政治的にはるかに弱体化することになり、共和党内でも反旗を翻す議員が増えることになる可能性がある」と見通した。しかし教授は「もし何のけん制もなされず、今のパターンが続くとすれば、われわれは米国が憲政の危機に陥ることを見ることになるだろう」と述べた。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1195388.html韓国語原文入力:2025-05-01 20:53
訳M.S

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