憲法裁判所が16日、ハン・ドクス大統領権限代行首相によるイ・ワンギュ、ハム・サンフン憲法裁判官候補指名の効力を停止させたことで、6月3日の大統領選挙への出馬をめぐるハン権限代行の「様子見」が壁にぶつかった。大統領任命枠の憲法裁判官を指名してから、「親尹錫悦派介入説」が流れる中で浮上した(大統領選候補として)「ハン・ドクス擁立論」は、憲法裁の仮処分の認容によって勢いを失う状況になった。この日、ハン権限代行は前日に訪れた光州(クァジュ)の起亜自動車工場に続き、蔚山(ウルサン)の造船会社を訪れた。慶尚道と全羅道地域のバランスまで配慮したかのような政治日程だった。
首相公報室は同日夕方、記者団に送ったメール通知を通じて、憲法裁の仮処分認容決定を受け入れるという立場を明らかにした。たった2行の短い公示だった。「本案の終局決定宣告を待つ」と淡々と言及したが、憲法裁に「憲法裁判官候補者を『指名』したわけではなく、将来任命すると『発表』しただけ」という意見書を出してまで、憲法裁の「仮処分却下」の決定を導き出そうとしたハン権限代行としては、当惑せざるを得ない状況だ。
世論調査専門会社「STI」のイ・ジュンホ代表は「ハン・ドクス擁立論の出発点だった電撃的な憲法裁判官指名の効力が消滅してしまったため、与党内でも擁立論はこれ以上支持を得るのが難しくなった状況」だと語った。
ハン権限代行の大統領選挙を意識したかのような動きはこの日も続いた。ハン代行は蔚山を訪れ、HD現代重工業造船所の哨戒艦に搭乗したのに続き、満足に食べられない子どもたちに無料で食事を提供してきた食堂を訪問し、オーナーを激励した。前日の光州の自動車工場訪問に続き、ハン代行が蔚山造船所を訪問したのは、米国と相互関税交渉を急ぐという意志表明であり、有力な「(民主党の)イ・ジェミョン対抗馬」がいない与党「国民の力」の「代案カード」として政治的存在感を高めようとする強い意図がうかがえる日程だった。このような理由から、共に民主党のキム・ミンソク最高委員はハン代行に向けて「権限代行を続けるなら不出馬を宣言し、出馬するならば直ちに対米関税交渉から手を引くべきだ。大統領選候補登録の名目を作るための拙速交渉など考えもしないでほしい」と述べた。