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韓国の極右は誰で、どのくらいの勢力なのか

登録:2025-03-17 10:05 修正:2025-03-17 10:29
尹錫悦大統領がソウル拘置所から釈放された8日夕方、尹大統領の支持者らがソウル龍山区の大統領官邸の入り口付近で集会を行い、プラカードや太極旗などを振っている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「韓国の極右」とは誰なのかを究明するには、「極右」を定義することから始めなければならない。最も広く引用される定義は、米国の極右研究者カス・ムッデによるものだ。彼は極右の特徴として反民主主義、権威主義国家観、外国人嫌悪、人種主義、排他的民族主義を抽出したが、その中でも「反民主主義」を最も重要な要素として挙げた。このようにみるならば、「韓国の極右」は「12・3戒厳を支持するか否か」で判別するのが合理的だ。12・3非常戒厳こそ、「反民主主義」(軍を動員した憲政秩序の中断)と「権威主義国家観」(「戒厳は正当な統治権行使」)と「外国人嫌悪」(「中国スパイの国政かく乱」)などの極右の核心となる要素を「名目と行動」の中にすべて備えているためだ。

 政界の一部では「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾」に反対する人々をすべて「極右」とみなすべきだという見解もある。彼らは最近の世論調査で30%台を維持している。しかし重要なのは、「弾劾反対」と回答した層の中には、非常戒厳宣布に否定的であり「ソウル西部地裁暴動」のような過激な行動にも反対する人々が多数混ざっているという点だ。大統領弾劾に対する評価には「正しいか間違っているかの判断」だけでなく、「処罰の軽重」や「波及効果」に対する「政務的な判断」も同時に作用するためだ。

 極右の判別基準を「戒厳を支持するか否か」に狭めると、その規模は有権者の20%前後と推算できる。韓国の有権者数をここに当てはめれば、およそ880万人前後という計算になる。ちなみに東アジア研究院・韓国リサーチの調査(1月22~23日、1514人のウェブ調査)では13.9%、時事in・韓国リサーチの調査(2月3~5日、2000人のウェブ調査)では18%が戒厳支持者だった。両調査で戒厳に対する否定評価はそれぞれ72.9%、73%だった。

 学者の研究結果のうち参考になるのは、中央大学政治国際学科のパク・ボムソプ教授が2月に東アジア研究院のカンファレンスで発表した「誰が戒厳を支持しているのか」という論文だ。ここでパク教授は「強い政府を好み、民主主義の作動方式に不満を持っており、特定の政党や政治指導者に対する感情的な二極化が強い人であるほど、戒厳を肯定的に評価する傾向を見せる」と明らかにした。性別や年齢の多寡(60代以上は除く)は戒厳に対する支持に大きな影響を及ぼさないことが分かった。

 注目すべき部分は「大統領は国会の反対にもかかわらず必要だと考える政策を強行すべきだ」、「国会の牽制が大統領の国政運営の妨害になりうる」と考える人ほど、戒厳に対する支持率が高かったという事実だ。極右に親和的な国家主義・権威主義的な性向が戒厳支持者の間で強くあらわれるという意味だ。さらに、自身が支持しない政治勢力に対する反感が大きい集団で戒厳に対する肯定評価の比率が高くあらわれたが、研究では「尹大統領(および与党「国民の力」)を支持し、イ・ジェミョン代表(および野党「共に民主党」)を嫌悪する回答者で、戒厳を肯定的に評価する比率が高かった」と分析している。「尹錫悦熱烈支持-イ・ジェミョン極度嫌悪」の集団では、戒厳に反対する回答はほとんど出てこなかった。パク教授は電話でのインタビューで「感情的二極化が民主主義の根幹を傷つけ亀裂を起こしうる危険な状況まで来たということを示している」と語った。

 専門家らは、このような人々が韓国社会の「極右」に位置づけられる可能性を懸念している。成均館大学「良い民主主義研究センター」のファン・インジョン専任研究員は、2023年1月に2084人を対象に行ったウェブ調査で、自ら理念性向を極端な保守に近いと記した人々の特徴を分析した。ファン研究員の結論は、韓国で自分を極右性向と認識する割合は13%程度だということだ。これらの人々の特徴は、韓米同盟を強く支持し▽第20代大統領選挙で尹錫悦候補に投票し▽「民主主義が最善ではない」という認識が強いことなどだった。

 ファン研究員は「与党『国民の力』は、西部地裁暴動に同調した人々や弾劾後に街頭に出てきた極右指向の有権者までも支持層に編入させているという点に注目しなければならない」とし、「今後も当面は国民の力の主力部隊として党内外の政治に影響力を及ぼすだろう」との見通しを述べた。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1187260.html韓国語原文入力:2025-03-17 08:23
訳C.M

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