韓国政府は中国製の熱間圧延厚板に反ダンピング関税(30%前後)を賦課することを検討した。ドナルド・トランプ米大統領の関税戦争の速度が上がり、韓国政府も貿易障壁を高める動きだ。韓国鉄鋼産業は中国製の低価格商品の流入で困難に陥っており、来月米国の鉄鋼関税が現実化すれば被害がさらに大きくなりかねない。
産業通商資源部貿易委員会は20日、中国製の熱間圧延厚板のダンピングで韓国国内の産業が被害を受けていると予備判定し、「暫定ダンピング防止関税率」27.91~38.02%を策定した。貿易調査の手続きは予備判定の後に本調査につながる。貿易委は、本調査が終わる前でも関税を課すことができるよう、暫定ダンピング防止関税を企画財政部長官に建議することにした。現在、中国製の熱間圧延厚板は原産地証明などをすれば韓中自由貿易協定が適用され無関税で輸入される。
反ダンピング関税措置は、現代製鉄の提訴によって行われた。現代製鉄は昨年7月、安価な中国製厚板で韓国企業の収益性が悪化しているとし、政府に調査を要請した。ダンピングは正常価格以下で商品を輸出するもので、輸入国はダンピングをした分だけ関税を課すことができる。
厚い鉄鋼材である厚板は船舶の建造などに使われる。昨年の中国製厚板の輸入量は117万9328トンで、前年(112万2774トン)に比べ5%増加し、過去最高値だった。韓国国内で中国製厚板の価格は韓国製に比べて約20%安い。
中国製鉄鋼に対するダンピング調査は続く可能性が高い。中国が内需不振により自国で消費できない鉄鋼を、韓国はもちろん全世界に低価格で押し出しているためだ。米国の鉄鋼関税が施行されれば、輸出の活路が狭められた中国が韓国に鉄鋼をさらに低価格で流入させる可能性もある。産業部は現代製鉄が昨年10月に提訴した中国・日本製の熱延鋼板に対してもダンピング調査の開始を検討している。
一方、トランプ大統領は鉄鋼関税を来月12日から施行すると明らかにしている。また19日(現地時間)には自動車・半導体などに対する関税賦課発表の時期を4月よりさらに繰り上げることもありうると述べた。