「1日に4~5回、敵が波のように押し寄せてくる」(ウクライナ軍のアントン・バイエフ中佐)
5月からウクライナ北東部のハルキウ一帯を中心に攻勢を続けているロシア軍が、「人海戦術」を動員して「ゆっくり、じわじわと」ウクライナ軍を疲弊状態に追い込む戦略を取っている。英国BBCが4日に報じた。1日に数回ずつ兵士を動員して防衛陣地を攻撃するロシアの手法を、ウクライナ軍は「肉弾攻撃」と呼んでいるという。BBCは「この戦略は、兵士の数という利点を最大限活用しているというシグナル」だとして、ドローンを利用してウクライナ軍の陣地を確認し、兵力を動員して攻撃するロシア軍の戦略を、バイエフ中佐の口を通じて生々しく伝えた。ウクライナの元保安局将校のイワン・ストゥパク氏は、現在のウクライナ東部で行われているこのような形の戦闘について、「ロシア軍は1日にセンチメートル・インチ単位で100メートル、200メートルずつ(移動する)作戦を遂行している。不幸なことに、彼らにとっては成功」だと述べた。この戦術で、5~6月だけで毎日1200人のロシア兵が死亡したり負傷したとする西側の推算が出ているが、ロシア軍は追加の徴集令を繰り返し、戦争を継続している。
このため、ウクライナの反撃は容易ではない状況だ。2022年2月の戦争開始後、ウクライナは18~60歳の男性の出国を禁止したが、国境からの脱出と隠遁は続いている。最近下された動員令の前にも、すでに2万人以上の男性が兵役を避けてウクライナを離れたと、ガーディアンが報じた。足りない兵力を補充するために、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4月、徴集年齢を27歳から25歳に下げる法案に署名し、先月には残りの刑期が3年未満の収監者を対象にした軍服務形式の条件付き仮釈放の制度まで導入したが、兵力難を解消するには力不足だ。
こうしたなか、ウクライナ東部のドネツク地域で占領地域を拡大しているロシアは3日、戦略的要所とされるドネツク州チャシブヤール東部のノビー地域を占領した。AFP通信が報じた。1年前にロシア軍が占領したバフムト地域から西に20キロメートル離れた丘陵地帯のチャシブヤールは、過去数カ月間にわたり激しい戦闘が行われ、丘が平らになったほどだという。ロイター通信によると、同日午前にはウクライナで3番目に大きな都市であるドニプロで、ロシアのドローンとミサイルの攻撃で少なくとも5人が死亡、53人が負傷した。