日本の妨害にもかかわらず、イタリアのサルデーニャ島の海辺に日本軍慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」(以下少女像)が22日(現地時間)に設置された。少女像が建てられたスティンティーノ市の市長が、日本政府の問題提起に対し少女像に書かれた碑文内容の修正を検討する方針を示したという報道があったが、少女像の設置に参加した「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)は事実ではないと反論した。
ヨーロッパの休養地としても有名なサルデーニャ島のスティンティーノ市では同日、設置された少女像の周辺で除幕式が行われた。地中海を眺める海岸付近に位置することになった少女像周辺には、現地合唱団が歌う民謡「アリラン」が鳴り響いた。正義連は23日に報道資料を出し、除幕式にはサルデーニャ島の女性市長をはじめとする政治家と地域の女性・人権市民団体活動家と市民など200人余りが出席したと伝えた。少女像と共に設置された碑文には「日本政府が引き続き『慰安婦』の存在を否定し、ドイツ、フィリピンなど多くの国で平和の少女像を撤去しようとする試みを進めているのは、非常に残念なことだ」と韓国語とイタリア語と英語などで書かれている。
正義連によると、人権弁護士出身のリタ・バッレベッラ・スティンティーノ市長は演説で、「少女像は全世界の女性たちが今も体験している性暴力の原因を思い起こさせる」と述べたという。
日本政府は、イタリアの日本大使館などを動員して、少女像の設置に問題を提起した。共同通信は少女像の除幕式前日の21日、バッレベッラ市長が「(碑文に韓国市民団体の)一方的な主張が書かれている。文言変更を検討している」と述べたと報じた。同通信は、バッレベッラ市長が「慰安婦問題について勉強不足だった。日本のみを批判する意図はなかった」とし、「日韓両国の立場を併記した碑文に作り替える」と言明したとも報道した。
しかし、正義連のイ・ナヨン理事長はハンギョレとの電話インタビューで、「バッレベッラ市長と面談して確認したが、彼女は碑文を変えると言ったことはなく、今後もそのような計画はないと話した」とし、「日本記者とも直接インタビューに応じたことがないと(バッレベッラ市長が)語った」と伝えた。
日本政府は多角的にイタリア当局に圧力を加えている。イタリアの日本大使館の関係者は少女像の建立と関連し、NHKに「様々な(イタリアの)関係者に強い懸念を伝え、適切な対応を求めている」と述べた。
イタリア現地の地域新聞である「ルニオーネ・サルダ」も少女像の除幕式を2日後に控えた20日、在イタリア日本大使館の鈴木哲駐大使がスティンティーノ市を訪問し、バッレベッラ市長に会って除幕式の延期を要請したと報じた。同紙は、鈴木大使が日本は過去の犯罪について謝罪したとし、少女像の碑文の内容が事実と異なると抗議したと報道した。
韓国外交部は「関連動向を注視しつつ、必要ならば適切な対応を検討していきたい」とし、「政府の基本立場としては、海外の少女像などの設置は戦時性暴力という普遍的な人権侵害問題に対する追悼と教育のため、当該地域と市民社会が自発的に進めていると理解している」と述べた。イタリアの韓国大使館側はハンギョレの取材に対し、「これまで日本大使館やスティンティーノ市役所側から(韓国)大使館に接触したことはない」と語った。
スティンティーノ市の少女像は、欧州ではドイツのベルリンに次ぎ、公共の場所に設置されたものとしては2体目となる。(民間の物を含めると)2013年に米カリフォルニア州のグレンデール市立公園の公立図書館前に海外で初めて少女像が建てられて以来、14体目だ。
日本政府が世界各地にある少女像に対して持続的に圧力を行使し、ベルリンの少女像は設置から4年で撤去される危機に瀕した。少女像に対する行政処分権限があるベルリンのミッテ区役所は18日、「(少女像は)特別許可が一度延長され、その後は(碑文の)文言を修正する条件で容認されている状態だ。この協議が失敗したため、これ以上許可を延長することはできない」として撤去する方針を発表した。ミッテ区役所は「2024年9月に容認の期間が満了すれば、コリア協議会に区役所の撤去要請を伝える」と明らかにした。これに対し、在独市民団体「コリア協議会」は「文言と関連し、区役所側がまともに協議を要請したことがない」とし、「今からでも文言の修正をはじめとする協議に応じる用意がある」と反論した。