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【社説】疑問を解消できなかったアクトジオの会見、「ボーリング調査承認」検証を

登録:2024-06-08 08:41 修正:2024-06-11 08:40
東海深海の石油・ガスの埋蔵の分析を担当した米国アクトジオのビトール・アブレウ顧問が7日午前、政府世宗庁舎の産業通商資源部の記者室で東海深海のガス田開発に関する質問に答えている間、水を飲んでいる/聯合ニュース

 韓国政府による東海(トンヘ)深海の石油・ガス田のボーリング調査の承認をめぐり、様々な疑問が提起されるなか、事業性が高いとする分析結果を提示した米国企業アクトジオ(ACT GEO)のビトール・アブレウ顧問が7日に訪韓し、記者会見を行った。アブレウ顧問は多くの話をしたが、提起された疑問に対してはすっきりした回答を与えることはできなかった。それしか方法がなかったのだろう。納得のいかない政府の意思決定過程や奇妙な発表方法のために提起された様々な疑問は、アクトジオが説明できない部分だった。今後は雑音のない事業推進のためにも、政府のボーリング調査の承認過程全般について、国会主導で厳密な検証を経る必要がある。

 アブレウ顧問は「(データの)評価分析の結果、(既存のボーリング孔とは関係ない地域で)炭化水素が成熟しうる7つの有望な構造を見つけた」として、「35億から140億バレルの埋蔵量があると推定することになった」と述べた。しかし、ボーリングの成功率を20%とみなす理由については、意味のある説明はせず、結果はボーリングを実施することによってのみ知ることができると述べた。

 政府のボーリング調査承認が決定的に疑問を持たれることになったのは、外国の石油会社で唯一探査を共同で行ったオーストラリア企業のウッドサイドが、租鉱権の満期の6年前である昨年1月に撤退したことからだ。ウッドサイドは年報に「将来性がないため鉱区から撤退した」とする記録を残した。その後、石油公社の依頼を受けたアクトジオがわずか1年ほどで「成功の可能性が非常に高い」とする結論を単独で出し、政府は、大統領が出てきてボーリング調査計画の承認を突如発表した。これに対する信頼を確保するためには、アクトジオが「新たに有望な構造を見つけた」という根拠となった探査資料データを信頼性のある他の企業に渡し、事業性を交差検証することが有力な方法だろう。

 エネルギー資源の95%ほどを外国に依存する韓国が、国内で大規模なエネルギー資源の開発に成功するのであれば、本当に喜ばしいことになるだろう。しかし、李明博(イ・ミョンバク)政権時に「資源外交第1号」として推進したクルド油田の開発に石油公社が投じた1兆ウォン(約1100億円)をほぼ全て棒に振ったことなど、いわゆる「資源外交」の痛恨の失敗も忘れてはならない。東海ガス田のボーリング調査には、少なくとも5000億ウォン(約550億円)が必要であり、場合によっては全額を失ってしまう可能性もある。予算承認権を持つ国会が精密検証をするのは当然のことだ。検証の結果、ボーリング調査推進の妥当性が高いという結論が出てくるのであれば、国内外の民間資本を誘致するうえでも大いに役に立つため、政府と石油公社が避ける理由もない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1143938.html韓国語原文入力:2024-06-07 18:38
訳M.S

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