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「医学部の増員は認めない」vs「医療界は実力行使やめよ」…韓国で医政対立激化

登録:2024-03-20 23:48 修正:2024-03-21 08:27
政府が医学部の定員拡大などを含む医療改革案を発表した20日の午前、ソウル市内のある大学の医学部に「準備ができていない医学部増員、医学教育が傷つけられる」と記されたビラが貼られている/聯合ニュース

 政府が来年の医学部の入学定員の2千人増員を事実上確定したことで、医療界の反発が強まっている。医学部教授による集団辞表提出に加え、医師団体による共同対応の可能性も高まっていることから、医政対立は新たな局面を迎えつつある。

 20日午後の政府による定員配分の発表後、医学部生や医師の諸団体は政策強行を強く批判しつつ、受け入れられないとの立場を明らかにした。大韓医学部・医学専門大学院学生協会(医大協)はこの日の声明で、「医学をこのように学ぶことはできない」と述べた。彼らは「学生たちはカデバ(解剖用の死体)不足で解剖実習もまともにできず、形式的な実習を受けつつ強制進級で医師になるだろう」とし、「政府の一方的な発表は絶対に認められず、学生たちは絶対に退かないだろう」と述べた。大韓医学会は「政府の独断的な決定で社会は苦しむことになる」とし、「この間のすべての措置を撤回」するよう求めた。

 政府の方針に変化がないことから、医師諸団体が連帯して対応に出る可能性も高まっている。諸団体はこの間、医学部定員増員政策に個別に対応してきたが、定員配分の発表を起点として団体同士の共同対応の動きも見られる。全国医学部教授協議会(全医教協)非常対策委員会のチョ・ユンジョン広報委員長は20日の説明会で、「本日午後8時、医療界の3つの団体が臨時総会を行う」とし、「(増員配分発表への対応策を)合同で議論する予定」だと明かした。この日のオンライン会議には全医教協の他に医大協、大韓専攻医協議会(大専協)などが参加する予定だ。これで医学部の教授と学生、専攻医(インターン、レジデント)の団体が一堂に会することになった。

 政府はこの日、新規の医学部定員の配分を発表することで、2千人の増員を事実上確定した。医学部定員増員に向けた手続きで残るは各大学への通知、韓国大学教育協議会の承認、2025学年度大学入試選考施行計画の変更などのみだからだ。しかしチョ・ユンジョン広報委員長は「増員処分取り消しの仮処分を申し立てており、裁判所はまだ結果を発表していない」とし、「増員撤回が難しくなったとは考えていない」と述べた。

 政府による定員配分結果の発表の強行を受け、医学部教授たちも「辞表提出」の意を曲げずにいる。この日までに、ソウルの主な5つの病院の医学部教授が集団辞表提出の意思を明らかにしている。高麗大学医療院教授非常対策委員会はこの日の声明で、2千人増員政策の撤回を要求しつつ、政策が推進され続ければ25日に辞表を提出すると明らかにした。ソウル大学と延世大学の医学部の非常対策委員会も25日に辞表を一括提出すると明らかにしており、研修病院をソウル峨山(アサン)病院としている蔚山大学とカトリック大学の医学部の非常対策委員会も辞表提出を決議した。今月19日には、サムスンソウル病院の教授ら400人あまりが参加する成均館大学医学部教授非常対策委員会も、辞表を取りまとめて適切な時期に同時提出することを決めている。

 政府はこのような医療界の動きを「実力行使」と規定した。保健福祉部のパク・ミンス第2次官はこの日の医療改革ブリーフィングで、「1年あまりの医療界や社会各界各層との130回を超える議論と科学的根拠によって、2千人という数字を決めた」とし、「このような議論にもかかわらず、依然として医療界は反対し、実力行使をおこなっている」と述べた。

イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1133161.html韓国語原文入力:2024-03-20 19:21
訳D.K

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