「『あなたは間違っていない』という言葉に心が救われました」
日本の自衛隊の性暴力を告発した元自衛官の五ノ井里奈さんが5日、米ワシントンDCのホワイトハウスで、「世界の勇気ある女性賞」を受賞した後、このように述べた。五ノ井さんは北海道で陸上自衛官として勤務していた2020年から、同部隊の男性隊員から性暴力の被害に遭った。彼女は部隊内で「訓練」という名目で上司から深刻な水準の身体接触を受けたり、飲み会を口実に日常生活でもセクハラを受けた。
しかし、五ノ井里奈さんは閉鎖的な自衛隊内部の雰囲気に屈することなく、マスコミと捜査当局などにこのような事実を知らせた。しかし、検察がこの事件を不起訴処分し、マスコミまで生ぬるい反応を示すと、今度は直接ユーチューブを通じてこのような事実を暴露した。さらにこの事件の深刻性を知らせるため、13万人余りの署名まで集めた。ついに検察が事件の再調査に入り、昨年末、福島地方裁判所は性暴力加害者である陸上自衛官3人に対する強制わいせつ罪を認め、懲役2年の実刑に執行猶予4年を言い渡した。裁判所は被告らの行為が「被害者の人格を無視した卑劣で悪質なもの」だと判断した。加害者と検察はいずれも控訴せず、有罪判決が確定した。
米政府は五ノ井さんの勇気ある行動を評価し、この日「世界の勇気ある女性賞」受賞者12人の一人として選んだ。米国国務省はジョー・バイデン米大統領の夫人、ジル・バイデン女史人とアントニー・ブリンケン国務長官などが出席した中で授賞式を開き、「自衛隊で性被害を訴え、日本社会でタブー視される問題に光をあてた」と授賞理由を説明した。ジル・バイデン女史は「この壇上にいる女性たちは沈黙を拒否し、恐怖と危険にさらされながらも自分と皆のために声を上げた」と受賞者たちを称えた。
授賞式の後、五ノ井さんはNHKとのインタビューで、「1人で(自衛隊の不当さについて)声を上げ続けてきた中で、こういう賞をいただけたのは、自分の行動が間違っていなかったのだと思った」とし、「日本では声を上げると、誹謗中傷があったが、心が折れそうなとき、海外で評価されたり、直接『あなたは間違っていない』という言葉をもらったりするたびに心が救われたので、感謝している」と感想を述べた。
五ノ井さんはこの日、柔道着姿で授賞式に出席し、注目を集めた。五ノ井さんは「幼いころから柔道を通じて心も体も強くなった。自衛隊で被害にあって声を上げ、心が折れそうになった時も柔道があったからこそ立ち直ることができた」とし、「投げられても何度も立ち上がる強さを(柔道を通じて)教えられ、人生においても戦う力に変わっていった。柔道に敬意を表するために柔道着を着て出席した」と説明した。五ノ井さんは自衛隊の性暴力を告発した後、結局自衛官をやめたが、その後横浜で柔道指導者として新しい人生を始めた。五ノ井さんは「柔道を通して投げられても立ち上がる強さというのを悩んでいる人や苦しんでいる人に伝えていきたい」と語った。