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医師の代わりに重症患者診る看護師…「患者に何かあったらと思うと怖い」=韓国

登録:2024-02-23 00:32 修正:2024-03-05 08:47
専攻医の集団離脱が始まって2日目の21日、光州東区の朝鮮大学病院で医療スタッフが廊下を歩いている/聯合ニュース

 「不安だけはコロナ状況を彷彿とさせます。業務の混乱が続く中で、もし重症患者が多く発生したりした場合、患者を助けられるか心配です」(慶尚北道のある大型病院7年目の看護師Aさん)

 韓国政府の医学部定員拡大に反発して専攻医(インターン・レジデント)らが病院を集団離脱して2日目を迎えた21日、看護師や臨床病理士など病院に残った医療スタッフは、専攻医の空白で業務分担体系が崩れ混乱した病院の雰囲気を伝えるとともに、事態の長期化が患者に及ぼす影響への不安を打ち明けた。

「処方の電算作業、採血、ドレッシングに重症患者まで担当」

 大邱(テグ)のある総合病院の経歴30年目の看護師は「患者の傷のドレッシングや夜間採血など専攻医の業務を看護師や臨床病理士たちが行っているため、(普段より)1.5倍業務が増えた」とし、「専攻医たちが担当していた業務を教授(専門医)たちが行わなければならないが、些細な業務の場合はよく分からない部分が多く、本来専攻医の業務である処方に関する電算作業などは看護師たちが行っている」と語った。

 看護師7年目のAさんも前日の勤務で起きたことを説明し、「大動脈に疾患のある患者がいたので、もともと手術した病院に転院させようとしたが、(専攻医の離脱で)転院を断られ、他の病院に行かなければならなかった」とし、「ある一般病棟の患者に薬を入れる経鼻チューブが抜けたが、すぐに処理するインターンがおらず、救急室から救急医学科の教授が駆けつけたこともあった」と混乱した状況を伝えた。

 特にPA(診療補助)看護師の業務負担が大きく増えた。病院の必要に応じて、違法と合法の境界で医師の業務を代わりに担当する「幽霊看護師」とも呼ばれるPA看護師に、より頻繁かつ違法に専攻医の業務が押し付けられているためだ。

 ソウルのある大型病院の経歴20年目の看護師Bさんは「(PA業務は)従来も医療法上保護されていな違法医療だったが、専門医が指示する業務の範囲が限りなく広がっている」とし、「重症患者を担当し管理する業務まで任せられる場合もあるが、違法医療行為による結果に対する責任はすべて本人が負わなければならない状況」だと語った。

 残った医療スタッフは患者に対する申し訳なさと不安の中で、現場を離れた専攻医に対する抗議にも対応しなければならない。ソウルのある大規模総合病院の2年目の臨床病理士であるCさんは「本来専攻医が行っていた業務を少しばかりの知識で処理している」とし、「そんな中で手術などの予約を調整するために患者に電話をかけなければならないが、激しい抗議に遭うことが多い」と語った。

 このような背景から、看護師など現場に残った医療スタッフは、政府と医療界の両方に「強対強」の対峙を止めて対話に乗り出すよう求めている。保健医療労組のパク・ミンスク副委員長はハンギョレに「残った医療スタッフの労働の強度の問題だけでなく、医療事故など患者の安全にも問題が生じかねない」とし、「対峙を止めて『どれだけ』ではなく、『どのように』医療現場を変えていくかについて議論すべきだ」と語った。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1129336.html韓国語原文入力: 2024-02-22 18:45
訳H.J

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