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[特派員コラム]尹政権は戦争が起きるよう祈りでもしているのか

登録:2024-02-13 01:15 修正:2024-02-13 08:26
韓国合同参謀本部は、北朝鮮が2日午前11時ごろに西海北方に発射した数発の巡航ミサイルを捕捉したと発表した。写真は同日午後にソウル駅でニュースを見る市民/聯合ニュース

 先月28日、親イラン民兵組織によるドローン攻撃により、ヨルダンの米軍基地で3人の米兵が死亡したことに対し、複数の共和党の上院議員がイランを直接攻撃しようと主張した。首都テヘランとイラン指導部を攻撃せよという要求まで出てきた。イランが攻撃に直接介入したという根拠はなかった。そのような中でもイランとの直接衝突という最悪の状況へと突き進もうという主張だと解釈しうる要求だった。

 自国の兵士が犠牲になったのだから、激怒するのは理解できる。しかし上院議員ともあろう者が行う恐ろしい主張の背景には、政治的計算があるはずだ。安保問題で断固たる態度を取る人物というイメージを持ってもらいたかったのだろう。ジョー・バイデン大統領は無力だと非難したかった、というのもあるだろう。米国がまたも戦争の泥沼にはまれば、11月の大統領選挙を前にして共和党にとっての好材料となる可能性もある。だから政略的にみれば、強硬論こそ彼らにとっては合理的な選択だ。

 世界のどこであっても安保タカ派は戦争をたやすく語る。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とシン・ウォンシク国防部長官の北朝鮮に対する発言を聞いていると、競争でもしているかのようだ。米国の2022年の「核態勢検討報告書」に初めて登場した「北朝鮮政権の終末」は、随時用いられる言葉になった。米国防総省に著作権料でも払うべきなのではと思える。また、尹大統領は北朝鮮に「相応の」対応をするという従来の表現にとどまらず、「何倍も報復」すると述べた。シン長官は「平和を害する妄動をすれば、彼らを待つのは破滅の地獄だけ」と述べた。ヨハネの黙示録が語る最後の戦場「アルマゲドン」が朝鮮半島で展開されるかのような、終末論的表現が横行している。

 北朝鮮の荒っぽい表現は昨日今日にはじまったものではないが、近ごろ荒っぽさが増してはいる。それよりも気になるのは、尹錫悦政権がなぜここまで乱暴な言葉を連発しているのかだ。政治史をみれば、選挙に疑いの目を向けることもできるだろう。保守勢力は緊張の高まりの恩恵を受けてきた。大統領の支持率の低さも疑われる。

 ところで、政府が安心しろという意味で言っていることに、さらに不安を感じるという市民も多いようだ。なぜだろうか。まず、衝突は概して「お前のせいだ」とする攻防が激化した末に起きる、ということを人々はよく知っているからだ。政府に対する信頼が弱いということもあるだろう。信頼されない人は、大声を張り上げれば張り上げるほど余計に信頼を失うものだ。米国は、北朝鮮の挑発には強く対応すると述べつつも、「対話の扉は開かれている」という言葉は欠かさない。対話できていないことの責任を相手に押し付ける言葉だ。しかし、過度な緊張の高まりは避けたい、という意味を込めた表現でもある。

 不安の根っこには、この国の指導者たちの極端に無責任だった過去についての記憶もあるだろう。朝鮮戦争前にシン・ソンモ国防部長官は、李承晩(イ・スンマン)大統領の命令さえあれば北進し、「昼食は平壌(ピョンヤン)で、夕食は新義州(シンウィジュ)で」食べると言った。彼らは、いざ38度線が突破されると、国軍がうまく阻止しているとうそをついたうえ、漢江(ハンガン)の橋を落として逃げ出した。民衆の不信は簡単には消えない。

 米国の言う「北朝鮮政権の終末」は、北朝鮮が核兵器を使用することを仮定したものだ。北朝鮮が核兵器を使ったなら、韓国にはすでに地獄が広がっているだろう。その時になって北朝鮮政権の終末を見たところで、どれほどの意味があろうか。そのような言葉の復命復唱に熱中するのではなく、相手に終末を迎えさせることを互いに試みるような状況をどのように防ぐのかを、まず提示すべきだ。

//ハンギョレ新聞社

イ・ボニョン|ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1127876.html韓国語原文入力:2024-02-08 18:01
訳D.K

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