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[現場から]財閥トップを並べてトッポッキ試食…「大統領の政治ショー」

登録:2023-12-07 23:31 修正:2023-12-08 06:25
2023年12月6日、尹錫悦大統領が大企業のトップたちを引きつれて釜山中区の富平カントン市場を訪れ、トッポッキやピンデトクを試食している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 「長年やってますけど、市場でのトッポッキ団体試食は初めて見ますね」

 20年以上もその企業に身を置いているある大企業幹部が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と企業トップたちの「市場モッパン(食事系の動画やショー)」を見てそう言った。この幹部は、企業トップが大統領の後ろに並んでトッポッキを食べる姿は「選挙シーズンの有力候補を支援するための『政治ショー』のようだった」と語った。今後も末永く大統領と企業トップの同行の「悪い先例」として残るワンシーンだとも皮肉った。

 尹大統領とサムスン電子のイ・ジェヨン会長、LGのク・グァンモ会長ら主要企業のトップたちによる6日の釜山(プサン)の富平カントン市場訪問が、財界の内外で話題だ。大企業のトップが大挙して2030万博誘致合戦に動員されるだけでは足りず、「民意をなだめるために」国内政治イベントにまで出ていくのは適切ではない、との論調が主流だ。大統領室に関わるニュースには身を縮めて沈黙していた企業の内部からも、異例にも不満の声があふれているわけだ。

 トップ動員問題は万博誘致合戦の際にすでに批判的な声が聞かれていた。主要グループは1年前から万博誘致タスクフォース(TF)を立ち上げ、多くの人材と時間を投資してきた。SKのチェ・テウォン会長は10月から万博開催地の発表までの2カ月間にわたって国外にとどまった。イ・ジェヨン会長も10月末のサウジアラビア・カタール歴訪、11月初めの太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議への参加、11月中旬の欧州での誘致活動などで、国内より国外にいる期間の方が長かった。欧州に派遣されて誘致合戦を支援したある企業役員は、「政府や地方自治体がすべきイベント誘致に企業が取り組んでいることを変に思う人も、外国の代表の中にはいた」と回想した。

 トップたちの釜山訪問は「万博動員令」よりさらに唐突だ。万博誘致合戦は数兆ウォンの経済効果によって企業もおこぼれを狙えると理由づけできるが、釜山訪問は万博誘致に大敗した政府が怒れる民意をなだめるために企業トップを駆り出した政治ショーに過ぎない、と反応されている。サムスン、LG、暁星(ヒョソン)、ハンファなどは釜山に主要な事業所があるわけでもなく、投資を計画しているわけでもない。釜山同行リストに含まれた大企業のある広報担当役員は、「政治イベントの基本は共感だが、釜山市民の慰労の場に企業の会長が行ったからといって、釜山市民に共感が広がるだろうか。完全な判断ミス」だと批判した。

 トップたちが大統領の外遊などに同行する際に、常に財界と政界で語られてきたことがある。分秒単位で事業を構想すべき企業のトップを大統領の行事の脇役として使うのは、国家経済の損失だということだ。特に企業にとって第4四半期は、翌年の人事戦略や事業戦略などを練る重要な時期だ。そのような時期にかなりの時間を万博誘致合戦に費やした企業トップを、大統領を引き立たせるための「バックダンサー」として利用するようなことが、繰り返されてはならない。

オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1119505.html韓国語原文入力:2023-12-07 17:58
訳D.K

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