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ソウルに集まったノーベル賞受賞者ら「韓国の研究開発予算削減、科学界に打撃与える」

登録:2023-09-25 11:11 修正:2023-09-25 15:19
(左から)ノーベル物理学賞受賞者のコンスタンチン・ノボセロフ教授(マンチェスター大学)、ジョージ・スムート教授(香港科学技術大学)が24日、「ノーベルプライズ・ダイアローグ・ソウル2023」前の記者懇談会で話している=韓国科学技術翰林院提供//ハンギョレ新聞社

 ノーベル賞受賞者たちが、韓国政府の研究開発(R&D)予算削減編成に関し、一斉に懸念を表明した。

 2010年にノーベル物理学賞を受賞したコンスタンチン・ノボセロフ教授(英マンチェスター大学)は24日、ソウル江南区(カンナムグ)のCOEXで開かれた「ノーベルプライズ・ダイアローグ・ソウル2023」に先立って行われた記者懇談会で、「知り合いの韓国の研究者たちが、最近(政府の予算削減が予告され)厳しい状況だと話している」とし、「予算削減が全般的に韓国の科学界に打撃を与えうる」と述べた。

 ノーベル賞の知識と価値を全世界に広めるために開かれたこの日の行事には、ノボセロフ教授をはじめ、ノーベル賞受賞者5人が参加。この場に集まった受賞者たちは、韓国政府が来年度のR&D予算を今年より16.6%(5兆2千億ウォン)も減らすことにしたことに対して一斉に懸念を示し、「政府が科学を支援しなければならないという認識を持つべきだ」と助言した。

 2006年ノーベル物理学賞受賞者であるジョージ・スムート教授(香港科学技術大学)は「基礎科学に投資すれば100倍以上の利益を得ることができるが、問題は時間が必要だということ」と述べた。さらに「韓国は天然資源がない国なのに技術に投資して経済10位圏の国家となった」とし、「韓国政府は経済発展のためにも基礎科学に支援すべきだ」と強調した。

 2013年ノーベル化学賞受賞者のマイケル・レビット教授(米スタンフォード大学)も「今回、韓国政府が研究・開発予算を削減した理由に妥当性があるかは分からない」としつつも「予算削減は決して良い結果を生まない。未来に重要なのは教育、科学技術への投資だ」と強調した。

 2017年ノーベル化学賞受賞者のヨアヒム・フランク教授(米コロンビア大学)は「政府の科学技術投資や支援が科学者に圧力として作用してはならない」として「特定方向に研究が進むことを願ってはならない」と語った。

 ノーベル財団のビダル・ヘルゲセン理事長も、韓国の政治状況などに対する言及は避けながらも「科学・教育・研究分野における長期的な投資と国ごとの成功事例輩出には相関関係がある。ノーベル賞受賞者数だけ見てもたやすく分かる」と述べた。

 一方、野党「共に民主党」のチョン・ピルモ議員は同日、来年度のR&D予算が16.6%削減で確定した場合、25の政府支援研究機関の研修職の研究員1200人以上が削減されるという見通しを示した。この減員規模は、研修職1人当りの人件費を今年水準に維持し、支援年ごとに来年度の予算削減比率を適用した結果だ。

 同研究機関の研修職の研究員は、ポストドクター研究員、学生研究員、インターンで構成されている。現在、25の研究機関ではポストドクター研究員1087人、学生研究員3089人、インターン715人など計4891人が働いている。

キ・ミンド記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1109859.html韓国語原文入力:2023-09-25 02:30
訳C.M

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