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第2のスターウォーズ…宇宙探査競争に火がついた

登録:2023-09-11 07:02 修正:2023-09-11 08:19
先月5日、月軌道に進入中のインドのチャンドラヤーン3号から見た月の姿/ロイター・聯合ニュース

 今年7月に月の南極への探査機の着陸に成功したインドが、次の計画として太陽探査に挑戦する。中国の「宇宙崛起」にインドも挑戦状を出し、宇宙競争に積極的に取り組む姿勢を示した。

 米航空宇宙局(NASA)やロシアのロスコスモス、小惑星探査で先んじている日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは広く知られている。今回存在感を誇示したインド宇宙研究機関(ISRO)も、1960年代に始まる長い歴史を誇る機関だ。宇宙省傘下の機構だが、首相が直接管轄し、宇宙省のトップがISROの議長を担当する。ISROは完全な打上げ能力を保有し、極低温エンジンの製造も可能であり、大規模な人工衛星を運営できる世界でも数少ない宇宙機関のうちの一つだ。ロケットを発射する国は多いが、乗務員なしで探査船を軟着陸させたのは、米国とロシア(ソ連)、中国に続きインドが4カ国目だ。

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「人工衛星製造可能」30カ国ほどのみ

 インドの宇宙開発の夢は古い。1962年のジャワハルラール・ネルー政権期、政府の傘下に国立宇宙研究委員会(INCOSPAR)を作り、これが母胎となって、7年後にISROとして再出発した。中国をけん制するために核開発に没頭した頃だった。1975年、初の人工衛星アーリヤバタを発射したが、当時は発射台施設がなく、ソ連の助けを得た。1980年代と90年代の躍進の期間を経て、現在では世界最大規模の遠隔探査衛星を保有し、GAGANなど独自の衛星測位システムを運営する段階に達した。チャンドラヤーン3号の成功をはじめ、すでに月に3回、火星に1回、探査機を送った。

7月14日、インド南部のアンドラ・プラデシュ州スリハリコタの宇宙センターからインドの月探査機チャンドラヤーン3号が打ち上げられている。発射から40日後の先月23日、人類史上初となる月の南極への着陸に成功した=ISRO提供//ハンギョレ新聞社

 ISROは、アフマダーバードの物理研究所、ガダンキにある大気研究所、高等教育機関である宇宙科学技術研究所(IIST)のような研究機関だけでなく、宇宙航空技術を民間に販売して輸出するアントリクスやニュースペース・インディアのような商業部門も保有している。中核となる施設は、探査機を発射したビクラム・サラバイ宇宙センターだ。

 国家レベルの宇宙研究を始めた後、一番最初に行ったことは、インド南部のトゥンバに赤道ロケット打ち上げ基地(TERLS)を作ったことだ。赤道上にある同基地は、気象研究と上層大気の研究のためのロケット発射場として選択された。1963年、そこから初めて発射されたロケットは米国産だった。だが、わずか4年後、インドが設計して製造した初のロケットであるロヒニ(RH)-75を打ち上げた。インドの航空宇宙開発の父である物理学者のビクラム・サラバイが1971年に死去した後、彼の名前を取って宇宙センターの名称が改めて付けられた。ISROで有人宇宙探測機の研究を主導したウニクリシュナン・ナイル氏が昨年からビクラム・サラバイ宇宙センターでの発射計画を統括している。

 国連宇宙局(UNOOSA)によると、欧州宇宙機関(ESA)のような地域機関やスペースXなどの民間会社を除くと、政府傘下の宇宙開発機関を設置している国は41カ国に達する。北朝鮮の宇宙開発局のように国連に未登録の機関や民間企業まで合わせると、世界には70を超える宇宙機関がある。宇宙探測機専門の機関を設けた歴史であれば、旧ソ連のコスミチェスカヤ(1956年設立)から出発したロシアが最も古い。その後、米国に続きアルゼンチン、パキスタン、フランスがインドより1年早い1961年に同様の機関を発足させた。欧州以外の地域では、インドネシア、ペルー、サウジアラビアも出発が早かった。

 だが、人工衛星の製造能力まで備えた国は30カ国ほどしかなく、どの国の宇宙船を利用したかは別にしても、宇宙飛行士を排出した国は32カ国にすぎない。人工衛星を自ら製造でき、再利用可能な宇宙発射体を回収する能力まで持っている国は、米国、ロシア、中国、日本、インドの6カ国が知られており、ESAがこのリストに追加される。

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アラブ首長国連邦・ケニアも宇宙に

韓国航空宇宙研究院の衛星総合管制室=航空宇宙研究院提供//ハンギョレ新聞社

 冷戦期に「スプートニク・ショック」で始まった米国とソ連間の宇宙競争は、新興国と民間の参加によって、何度か跳躍の時期をむかえた。冷戦が終結して中国が浮上した後、宇宙競争の第2幕、第3幕が次々と繰り広げられているところだ。宇宙への進出計画を本格的に進めている後続走者はどこだろうか。米中央情報局(CIA)の「ザ・ワールド・ファクトブック」は、各国の宇宙計画をまとめてウェブサイトで公開している。ロケットクルー・ドットコムは、国家レベルの宇宙開発計画を持っている国として、イタリア、フランス、オーストラリア、ブラジル、イラン、イスラエル、ケニア、ウクライナ、そして、韓国、北朝鮮を挙げた。韓国は昨年のヌリ号の発射を通じて、1トンを超える搭載物を打ち上げ可能な「宇宙クラブ」の7番目の国家に名を連ねた。統計サイト「スタティスタ」によると、2020~2022年に宇宙に予算を多く投じた国は、米国、中国、日本、ロシア、フランス、ドイツに続き、インド、イタリア、英国、韓国の順だった。

 数年前から目立つもう一つの国はアラブ首長国連邦(UAE)だ。2020年、アラブ圏初の火星探査機「アマル」、その名の通り「希望」を打ち上げた。発射は日本の種子島宇宙センターで行い、韓国の研究チームも開発を助けた。教育高等技術省の女性閣僚のサラ・アミリ氏が宇宙庁長官を兼ね、アラブ世界の変化を世界に象徴的に知らしめている。宇宙探査機に本格的に飛び込んだのが2015年と、年数では短いが、火星に続き月探査や小惑星探査、宇宙観光などの計画を推進している。

 イタリア、フランス、ドイツなど欧州諸国の宇宙計画は、ほとんどがESAの計画のもとで行われた。ブラジルの場合も、2004年に独自のロケットを打ち上げた後、NASAの2025年の月有人探査計画「アルテミス」などに協力するかたちで発展を狙っている。イスラエルはすでに1980年代に初の衛星を打ち上げた。米国や欧州だけでなくインドやロシアの宇宙当局とも全方面で協力してきた。政府傘下の宇宙機関とは別に、2025年までに月に小型の着陸船2機を着陸させる「ベレシート2」という民間探査計画が進行中だ。

 アフリカではケニアが先行している。東アフリカのケニアは赤道圏にあり、東にはインド洋と接しており、軌道に衛星を効率的に発射できる理想的な宇宙基地の地理条件を備えている。東部海岸のマリンディ近郊にブローリオ宇宙センターがあり、1960年代初頭にイタリアとケニア両国の協定を通じて設置された。1970年、そこから「ウフル」という名の研究用衛星が発射された。イタリアから宇宙センターを譲り受け、ケニア政府が商業用宇宙計画を立てようと努めたが、両国間の対立のために失敗に終わった。だが、その後もイタリア、後にはウクライナなどとともに、ロケット発射設備と衛星組立施設の開発を進め、2018年には国際宇宙ステーションから超小型衛星キューブサットを発射した。

ク・ジョンウン|国際専門ジャーナリスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1107805.html韓国語原文入力:2023-09-09 19:01
訳M.S

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