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「ジャンボリー」食堂運営費121億ウォンでカビ生えた卵…予定されていた破局(2)

登録:2023-08-14 08:13 修正:2023-08-14 09:00
2023セマングム世界スカウトジャンボリーの参加者たちが8月7日、全羅北道扶安郡のジャンボリー会場のつるのトンネルで暑さをしのいでいる。トンネルの上部はつるが伸びておらず、日よけ幕を重ねている/聯合ニュース

(1の続き)

■食堂の予算121億、なのに卵にカビが

 「シャワー施設はテントで覆ってあるため、横からは丸見えということです。トイレもある場所は男女共用になっています」(ジャンボリー参加者の保護者、MBC「キム・ジョンベの視線集中」)

 ジャンボリーで指摘されたもう一つの問題は、劣悪な施設だ。日陰を提供する休憩所とトイレが非常に不足しているうえ、掃除もされておらず汚れていることもあった。テントでできたシャワー室はセキュリティに脆弱で、さらには男性参加者が女性用シャワー室に侵入する犯罪まで発生した。猛暑で熱中症患者が急増しているにもかかわらず、主催者側が初日に用意していた病床は50床あまりしかなかった。熱中症治療に用いる保冷剤や医療人材も不足していたため、近くの病院の緊急支援まであおいだ。

 組織委が明らかにしたジャンボリーの総事業費は1171億ウォン(約127億円、緊急追加支援を含まない)で、2017年の誘致時の見通しの500億ウォンあまりの2倍だった。だが、このうち医療施設の準備(28億ウォン、約3億500万円)や日よけの造成(5億4000万ウォン、約5880万円)、猛暑対策物品の購入費(2億ウォン、約2180万円)など、安全保健予算は極めて少なかった。公演イベント(45億ウォン、約4億9000万円)、活動プログラム運営費(63億ウォン、約6億8600万円)、一般人訪問区域(デルタ区域)広報館の造成(21億ウォン、約2億2900万円)よりはるかに少ない編成だった。その他に食堂運営に121億ウォン(約13億2000万円)が投入されたといわれるが、食事にカビの生えた卵が出てもいる。予算がまともに使われたのか疑われる部分だ。

2023セマングム世界スカウトジャンボリーから早期撤収した英国のスカウト隊員たちが6日、宿舎となるソウル市内のホテルに入館している。隊員たちの足には虫刺されの跡が鮮明に残る/聯合ニュース

 安全に対する安易な認識は主催者側の態度にもあらわれている。世界スカウトジャンボリーのキャンプ長を務めるイ・ハンボク氏は8月4日にYTNの番組「ニュースキング」に出演し「熱中症患者が倒れたと聞いて大変なことになっていると思っていらっしゃるが、暑さでしばらく気を失い、日陰で3~5時間したら楽しく活動に復帰している。涼しい場所を作ってくれればそれがすぐ病床としても代替できる」と語っている。処置を誤ればより危険な急性疾患へとつながりうる熱中症の危険性を軽視する発言だ。組織委員会のチェ・チャンヘン事務総長は、熱中症患者が急増した理由として「Kポップイベント」をあげ、世論に叩かれた。

■中央政府も無能…数多くの点検報告会が行われたものの

 中央政府も責任を免れられない。開催前に問題を正す機会はあったからだ。政府レベルの数多くの現場点検と支援・報告会が行われているし、全羅北道扶安(プアン)に常駐する女性家族部からの派遣公務員もいた。行政安全部は40人規模の安全点検団を組織し、2023年3月と7月の2回にわたって現場点検を行っている。2022年9月には女性家族部長官が、2023年1月には行政安全部長官が各々現場を見て回っており、ハン・ドクス首相も2023年5月に現場を訪ね「最悪の状況を仮定して準備せよ」と述べている。

 政府の対応が具体的にどの時点で失敗したのかはまだ分からない。ただ、政府の認識と実際の状況との間に相当な差があったというのは確認できる。全羅北道議会のカン・テチャン議員はハンギョレ21の電話取材に対し、「『ジャンボリーの準備が不十分だ』と指摘すれば、(主務省庁の)女性家族部の公務員たちからはいつも『なぜ否定的なことばかり言うのか、我々がすべて準備中だ』との答えが返ってきた。ところが実際に行ってみると変わっていないので、また聞くと似たような返事が返ってくる、ということが繰り返された」と語る。同氏は「政府は開催準備を派遣職の公務員に任せ切りにし、現場把握が足りていないようだった」と付け加えた。

 キム・ヒョンスク女性家族部長官も同様の回答を続けていた。開催1年前の2022年10月の国政監査で、共に民主党のイ・ウォンテク議員にジャンボリー用地の浸水問題を指摘された際、キム長官は「台風、猛暑に対する対策もすべて立ててある。報告申し上げる」と自信をたっぷりに答えている。2023年5月に再び浸水問題が指摘された際にも「強制排水施設を造成した。排水路の整備はほぼ完了している」(7月末のブリーフィング)と述べている。キム長官は開幕から1週間が過ぎた8月7日になってようやく「最初に準備不足があったのは事実だ」と認めた。

 開幕時から波紋が広がっていたセマングムジャンボリーは、最後までめちゃくちゃだった。隊員たちが大挙離脱し、台風北上のニュースも聞こえてきたことで、組織委と世界スカウト機構は8月7日、ジャンボリーの早期撤収を決めた。4万人あまりの隊員を近隣地域に分散収容する過程でも、深刻な混乱が起きた。

 組織委は、ソウルの漢陽大学の男子学生寮に女性隊員を送ったかと思えば、忠清南道洪城(ホンソン)の彗田大学と京畿道高陽市(コヤンシ)のNH人材院には入国すらしていないイエメン隊員170人あまりとシリア隊員80人あまりをそれぞれ収容するよう通知している。組織委はその夜になってようやくキャンセルの電話をしている。これらは、組織委が崩壊した行政をどのように垂直的位階によって解決しようとしたのかを如実に物語っている。

2023セマングム世界スカウトジャンボリーに参加した英国の隊員たちが6日、全羅北道扶安郡のキャンプ場から撤収するために荷物を運んでいる/聯合ニュース

■自治体は開発のためにイベント誘致、中央は地域を知らない

 ジャンボリーをきっかけとして、自治体と中央政府の協業のあり方と権限の配分について考え直すべきだと指摘する声があがっている。「中央政府と地方政府との協業がうまくいくには、両者が力のバランスを取るとともに、議論を水平的に行わねばならないが、そうはできていなかったというのが現実だ。自治体は財政が劣悪すぎるからイベントを誘致してでも開発を行おうとし、権限を持つ中央政府には地域事情を隅々まで把握できていないという限界がある。自治体と中央政府の財政の違いと垂直的な上位構造、硬直した意思疎通などを全般的に振り返る必要がある」。建国大学のイ・ヒャンス教授(行政学)はこう述べた。

シン・ダウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1104152.html韓国語原文入力:2023-08-13 17:29
訳D.K

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