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[レビュー]100年前に朝鮮人虐殺招いた「フェイクニュース」

登録:2023-08-12 00:26 修正:2023-08-12 07:44
//ハンギョレ新聞社

 100年前の1923年9月1日午前11時58分、東京をはじめとする関東地域の地面が大きく揺れた。マグニチュード7.9の強い地震で数十万棟の建物が破壊され、炎に包まれた。相次ぐ余震と火災で東京の人口の60%が家を失い、10万人あまりが死亡または行方不明になった。阿鼻叫喚の中で「朝鮮人が井戸に毒を撒いた」、「朝鮮人が人を殺したり略奪したりしている」といううわさが広がり、自警団が結成されて朝鮮人狩りがはじまった。そうして6千人あまり(推定)の在日朝鮮人が命を失った。関東大虐殺である。

 右傾化した日本社会では「虐殺はなかった」と主張する者もいる。それに呼応する者もいる。2020年に「慰安婦は契約による売春婦だった」という論文で大きな波紋を呼んだハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイアー教授が代表的な例だ。同氏は「警察の民営化:日本の警察、朝鮮人虐殺、そして民間警備会社」(2019年)と題する論文で、当時の自警団は警察の民営化の一例だとし、これらの行為を正当防衛だと擁護する。まず朝鮮人が放火、略奪などをはじめたのだというのだ。

 『関東大震災「虐殺否定」の真相』はそのようなラムザイヤーの主張にどれほど妥当性があるのかを分析する。40年間にわたって朝日新聞の記者そしてノンフィクション作家として活動してきた著者は、ラムザイヤーの主張の根拠である当時の朝鮮人に関するメディア報道を分析、検証する。通信などがマヒしている中で発行された記事には検証されていないデマがそのまま記されており、日本政府も責任から自由ではありえなかったというのが結論だ。100年前も「フェイクニュース」が問題だったわけだ。

 18日午後4時には、ソウル鍾路(チョンノ)のチョン・テイル記念館で著者を招いてのブックトークが開催される。

イ・スンヒョク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1103931.html韓国語原文入力:2023-08-11 05:01
訳D.K

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