「夏が好きですか? 冬が好きですか?」
この質問に対する過去の回答データがあるかどうかは分からないが、年月がたつにつれて冬が好きだという回答の割合が増えているのではないか。ここ数年間で、夏は心配にとどまらず恐怖を抱かせる季節になりつつあるのではないかという気さえする。地球温暖化により、地球の各所が40度を超える蒸し暑さや、とてつもない豪雨または激しい干ばつに苦しんでいる。
韓国も例外ではなく、今夏の梅雨の被害は甚大だ。槐山(クェサン)ダムの水があふれる様子や旌善(チョンソン)の大規模な土砂崩れの場面は、まるで外国のニュースを見ているようだ。まだ梅雨が終わったわけではないため、さらなる被害が懸念される。梅雨が過ぎてもしばらくはサウナのような蒸し暑さに悩まされ、初秋まではよりいっそう強力になっている台風を心配しながら過ごさなければならない。
最近発表された研究結果によると、このような状況は例外ではなく日常となる可能性が高いとみられる。先月29日、学術誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に、アジアの夏のモンスーンの未来を予測した論文が掲載された。夏のアジアモンスーンは大陸の熱くて乾燥した空気と海の(相対的に)冷たくて湿った空気が出会い、南アジア、東南アジア、東アジアに多くの雨を降らせる現象で、韓国では梅雨として現れる。
南京大学をはじめとする中国と米国の共同研究者たちは、この数十年間のモンスーンのデータをもとに地球温暖化を反映した気候モデルを作った。このモデルによると、東アジアの夏のモンスーンの変化パターンは地域によって異なる。揚子江の中下流から朝鮮半島南部(韓国)や日本南部に至る領域とインドシナ、フィリピン北部は雨がより多く降り、1日の降水量の偏差も拡大すると予測された。逆に、チベットを含む中国南部内陸はむしろよりいっそう乾燥する。
一方、人類が吐き出すエアロゾルも夏のアジアモンスーンに影響を及ぼす。エアロゾルは空気中を漂う小さな粒子で、粒子状物質(PM2.5など)もその一つだ。2010年を前後して東アジアのエアロゾル排出は減少に転じた一方で、南アジアは今も増えている。中国がディーゼル車の排出規制を強化するとともに、電気自動車への転換を急いでいるのに対し、インドは人口が増え、生活水準が改善していることでエアロゾルの排出が減る気配がないからだ。
先月30日に学術誌「npjクライメート・アンド・アトモスフェリック・サイエンス(気候および大気科学)」に発表された論文で、米国海洋大気庁をはじめとする共同研究者たちは、このような違いがモンスーンに及ぼす影響を分析している。エアロゾルは大気中で日光を遮断するため、温室効果ガスの増加による地球の表面温度の上昇を抑制する効果があるが、排出量が減っている東アジアの気温はより急速に上がっているというのだ。そのうえ陸の上昇幅は海の2.6倍にもなるため、温度差が拡大するにつれて梅雨の降水量も増えるという説明だ。21世紀に入って欧州と北米で記録的な猛暑や洪水が増えているのも、温室効果ガスの排出増加と共に、1970~80年代に大気汚染の深刻さが注目されたことで、これらの地域のエアロゾル排出が減ったことが背景となっている。
東アジアだけでも粒子状物質で毎年100万人が早期に死亡するという現実にあっては、温室効果ガスによる気候変動の衝撃を弱めるためにエアロゾルの排出を減らす努力に背を向けることはできない。結局、被害を最小化するためには、気候変動を反映した最新の研究結果にもとづく自然災害への対応策の全面的な見直しが急務だ。夏が早く過ぎてほしいものだ。
カン・ソッキ|科学コラムニスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )