福島原発汚染水に対する国民の懸念を解消するという趣旨で行われた韓国の与党「国民の力」の「リレー刺身会食」などについて、日本内部でも否定的な声があがっているという意見が出た。
恵泉女学園大学の李泳采(イ・ヨンチェ)教授は4日、「YTN」のラジオ番組「ニュースキング、パク・ジフンです」とのインタビューで、国民の力の刺身会食や水槽の水を飲むパフォーマンスなどについて「日本政府ではそのような刺身会食などのパフォーマンスはあまり肯定的にみていないようだ」と語った。
李教授は「むしろ滑稽に映り、韓国の世論を刺激すると思う」とし、「日本のマスコミも韓国世論を非常に敏感に取り上げている」と話した。
李教授は日本のソーシャルメディアで、「(国民の力のパフォーマンスについて)日本側に役立つ方向でやってほしいという世論もある」と書いた、「(国民の力が)もしその程度で試食をするなら、日本に来て福島産(水産物の)試食をしてほしい」などの世論があると伝えた。
国民の力の議員たちは福島原発汚染水の海洋放出に伴う国民の不安を解消するという趣旨で、「リレー刺身会食」を行ったのに続き、先月30日には刺身用の魚が入っている鷺梁津(ノリャンジン)水産市場の水槽から水を汲んで飲んだ。これに対し、党内外から批判が相次いだ。
「まだ核汚染水は放出されていないのに、いま海水を、それも鷺梁津の水槽の水を素手ですくって飲むことに何の意味があるのか」(共に民主党のキム・ハンギュ院内報道担当)、「度を越した突発的な行動」(国民の力のキム・グンシク元ビジョン戦略室長)、「国民が共感できる線を守ることについてもう少し考える必要がある」(国民の力のチャン・イェチャン青年最高委員)などの指摘が出た。
4日、国際原子力機関(IAEA)は福島第一原発の汚染水海洋放出に関する最終報告書で、安全性に「問題はない」という結論を出した。韓国政府は直ちに立場を示さなかった。一方、中国外務省は同日「報告書では日本の正当性と合法性を証明できない」と反対の意思を明確にした。
韓国政府は5日午前、大統領室の立場表明文を通じて「政府は韓国国民の健康と安全を最優先する」としたうえで、「原子力安全分野の代表的な国連傘下の国際機関であるIAEAの発表内容を尊重する」と述べた。
日本政府は報告書を根拠に今夏中に133万トンの放射性物質汚染水を30~40年間海に放出する作業を始める予定だ。