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ストーカー行為でも家庭内暴力でもない「デートDV」…惨事起きた「法の隙間」=韓国

登録:2023-05-29 03:07 修正:2023-05-29 10:01
デートDVで警察の取り調べを受けた直後に交際相手を殺害した疑いで拘束令状が申請された30代の男が28日、南部地裁で行われる令状実質審査を受けるために衿川警察署から出てきた様子//ハンギョレ新聞社

 韓国でデートDV(交際相手からの暴力)を警察に通報したとの理由で男が元交際相手の女性を殺害する事件が発生した中、初動措置の適切さをめぐって警察が批判を浴びると共に、ストーカー行為や家庭内暴力ではないデートDVは現行法に保護装置がないと指摘する声があがっている。

 28日のハンギョレの取材を総合すると、ソウル衿川(クムチョン)警察署は、「始興洞(シフンドン)殺人事件」の被害者Aさん(47)が生前、暴行を受けたと通報したことで元交際相手のB容疑者(33)を23分間にわたって取り調べたが、Aさんには適切な保護措置を取らなかった。B容疑者は別れを告げられた後Aさんに会うことを強要する過程で暴行に及び、取り調べを受けた直後の26日午前7時17分ごろ、始興洞の地下商店街の駐車場でAさんを凶器で刺して殺害した疑いが持たれている。

 警察は、暴行されたとの通報を受けた後、Aさんが「B容疑者の処罰や帰宅保護措置は望まない。交際関係だが結婚する考えはない。生活費も共同ではなく、一度家を出ていくと長期間家を戻らず、たまにしか帰ってこない」という陳述にもとづいて事実婚関係ではないと判断し、家庭内暴力犯罪の処罰などに関する特例法(家庭内暴力処罰法)を適用しての分離措置は取らなかったと説明した。家庭内暴力処罰法とストーカー犯罪の処罰などに関する法律は、被害者保護のために必要だと判断される場合は接近禁止、留置場または拘置所への留置などの方法によって被害者と加害者を分離できると規定している。B容疑者はAさんおよびAさんの母親と同じ家で週に1~2日過ごす関係だったが、警察は事実婚に近い同居生活などとみなす積極的な解釈は行わなかった。

 専門家は、警察の安易な認識も批判されるべきだが、デートDVについての法律の不備そのものが根本的な問題だと口をそろえる。家庭内暴力処罰法とストーカー行為処罰法は分離と接近禁止に向けた暫定措置が取れるようになっているが、デートDVについては特に保護措置規定がないからだ。ミン・ゴウン弁護士は「理解しやすくするために『デートDV』という単語が付いているが、(両法にはデートDVについての)関連規定がなく、交際関係において発生した暴行や殺人は単なる一般の暴行罪、殺人罪が適用される。恋人間の犯罪は家庭内暴力処罰法やストーカー行為処罰法の枠内で適用できる『接近禁止』要件に当たらないため、それを申し立てることも難しい」と説明した。そして「このような犯罪は初期に防ぐことが重要なので、加害者を拘置所に拘束し少なくとも1カ月分離し、偶発的に報復心理に駆られて殺人を犯すのを防ぐ必要がある」と話した。

 東国大学のクァク・テギョン教授(警察行政学)も「現在のところは、被害者が警察にもっと積極的に保護措置を望むと話すしか方法がないため、現場で警察が被害者と加害者の分離をより積極的に行えるよう、新たな法規定などが必要だ」と指摘した。

ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1093622.html韓国語原文入力:2023-05-28 18:33
訳D.K

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