外国人の家事労働者に対する最低賃金の不適用を規定した法案が国会に上程され、波紋が広がっている。移住女性の人権団体などからは「奴隷労働をしろというのか」として反発の声があがっている。
野党「時代転換」のチョ・ジョンフン議員は21日、国会疎通館で記者会見を行い、最低賃金不適用の外国人家事労働者導入のための法案(家事労働者の雇用改善などに関する法律一部改正案)を代表発議したことを明らかにした。
同氏は「大韓民国は最悪の少子化問題を抱えている。共働きが基本の青年世代にとっての現実的な解決策が必要だ」と立法趣旨を説明した。そして「シンガポールでは外国人家事勤労者が月70万~100万ウォン(約7万1100~10万1500円)程度の月給で若者の仕事と家庭の両立を助けている。この法案が実現すれば、シンガポールのように月100万ウォンほどの外国人家事労働者の使用が可能になる」と付け加えた。共同発議者としては国民の力のパク・スヨン、ソ・ジョンスク、ユ・サンボム、チョン・ジュヘ、チョ・ウンヒ、チェ・スンジェ、チェ・ヒョンドゥ、テ・ヨンホの各議員、共に民主党のキム・ミンソク、イ・ジョンムン両議員が名を連ねた。
市民団体は、移住労働者に対する明白な差別だとして反発した。移住と人権研究所のイ・ハンスク所長は本紙の電話取材に対し「奴隷労働をしろということに他ならない」とし、「家事労働者は、韓国人の場合も労働基準法が適用されず問題が生じているが、移住労働者には完全に最低賃金を適用できないようにする法を作るという。これは移住労働者に対する深刻な人権侵害」だと指摘した。
ケア労働問題を手っ取り早く解決しようという姑息な手だという指摘もある。ジェンダー政治研究所「女・勢・連」のクォン・スヒョン代表は「ケア労働を低評価する認識も問題だが、国内女性のためという大義名分によってさらに脆弱な位置にある移住女性労働者を搾取するという発想も問題」だとし、「ケア労働の問題はこのように安価な労働力で解決できる事案ではない」と指摘した。
政界からも直ちに批判の声があがった。基本所得党のシン・ジヘ報道担当は「今日(3月21日)は国連の定める国債人種差別撤廃デーだ。だが今日、人種差別を扇動する法案が上程された」と述べた。シン報道担当は「『最低賃金なき外国人家事労働者導入法案』は、少子化を乗り越えるために差別と搾取ぐらいは目をつぶろうというもの」だとし、「『移住労働者だという理由で差別と搾取にあうのは当然』などということを学ぶ世の中は、より一層恐ろしい未来となるだろう」と強調した。