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[社説]混乱煽った尹大統領の軽率な「核共同演習」発言

登録:2023-01-04 06:25 修正:2023-01-04 10:47
尹錫悦大統領と米国のジョー・バイデン大統領が昨年5月21日、龍山の大統領室で韓米首脳会談共同記者会見を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「韓米核戦力共同企画・共同演習」発言が波紋を呼んでいる。ジョー・バイデン米大統領がメディアの関連質問に短く「ノー」と答え、両国首脳の発言をめぐって混乱が生じた。両国の軍当局が昨年末に合意した事項の延長線上で出た発言とはいえ、相手国と調整済みではない敏感な事案を大統領が個別メディアに明らかにしたのは、非常に軽率で不適切だ。

 尹大統領は2日付で報道された「朝鮮日報」とのインタビューで、「韓米は米国の核戦力を『共同企画・共同演習』という概念で運用する案を話し合っている」とし、「核兵器は米国のものだが、情報共有と計画、訓練を韓米が共同で行う必要がある。米国もかなり肯定的な立場を示している」と述べた。両国の軍当局は昨年11月、第54回韓米安全保障協議会議(SCM)で拡大抑止の協力案として「情報共有や協議手続き、共同企画および実行などをさらに強化していく」ことで合意した。具体的な内容は協議中の段階だ。このような状況で、大統領がまるでほぼ確定であるかのように言及したものとみられる。

 用語も正確ではなかった。韓米安保協議会議の共同声明には「共同実行」(Joint Execution)と記されているが、尹大統領は「共同演習」(Joint Exercise)と述べ、まるで韓国が核を持って米国と共同で演習を行うかのような誤解を招いた。実際、海外メディアの記者はバイデン大統領に韓国と「共同核演習(Joint Nuclear Exercises)」を協議しているのかと質問した。ホワイトハウスはこれと関連して、「(バイデン)大統領が述べたように、我々は共同核演習について協議していない」とし、「韓国は核保有国ではないからだ」と説明した。バイデン大統領が核保有国同士の演習だと考え、「ノー」と答えたと説明したものとみられる。高度に複雑な問題なのに、尹大統領が慎重さに欠ける発言で混乱を招いたわけだ。

 米国が「核不拡散体制」という対外政策の根幹を変える可能性がほとんどない状況で、「核共同企画・共同演習」という表現も誇張された側面がある。実際、「核共有」をする北大西洋条約機構(NATO)の欧州同盟国も、作戦統制と事後評価など一部過程に制限的に参加しているだけだ。ややもすると北朝鮮だけでなく日本や台湾など他国を刺激する恐れもある。北朝鮮の高度化する核能力に対する実効的な対応策を精巧に講じなければならない今、大統領の発言がかえって混乱と不安を煽ることがあってはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1074285.html韓国語原文入力: 2023-01-03 19:41
訳H.J

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