政府と与党「国民の力」の関係者が、梨泰院(イテウォン)惨事に関連して嫌悪をあおる暴言を相次いで発している。党内からも自制すべきだという意見が出ている。
国民の力の非常対策委員を務めるキム・サンフン議員は19日の非常対策委員会で、梨泰院惨事市民対策会議について「国家的悲劇を利用した『惨事営業』をしようとしているのではないかと憂慮される」と述べた。同氏はセウォル号惨事に言及しつつ「国家的惨事が発生した時、それを宿主として寄生する『惨事営業商』が横行する悲劇を、はっきりと目撃してきた」、「彼らは惨事が生業」だと述べた。梨泰院惨事市民対策会議は188の市民団体が集まって10日に発足した。
梨泰院惨事に対する政府与党関係者の暴言はこれだけではない。
ハン・ドクス首相は15日に政府ソウル庁舎で行われた記者懇談会で、自殺した梨泰院惨事の生存者の高校生について「もう少ししっかりしていて、治療を受けなければならないという考えがもっと強かったら良かったのではないか」と語った。惨事の被害者の苦しみに共感できていないうえ、悲劇的な死を逆に被害者のせいにしているとの批判が相次いだ。
国民の力所属の昌原市議会のキム・ミナ議員も12日にフェイスブックに「子を売って商売しているとの声があがっている」、「国を救って死んだのか」と書くなど、露骨に梨泰院惨事の遺族を中傷した。「尹核関(尹錫悦大統領の核心関係者)とされるクォン・ソンドン議員は、梨泰院惨事遺族協議会が発足した10日、フェイスブックに「セウォル号のように政争として消費されているうちに、市民団体の横領の手段として悪用される可能性がある。市民団体が組織的に寄り集まって政府に圧力をかけるやり方は慎むべきだ」と書いて批判を受けた。
政府と与党からの暴言が絶えないのは、梨泰院惨事に対する尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の態度と無関係ではないと指摘される。尹大統領は今に至るまで、梨泰院惨事に対する国の責任を認める公式謝罪をしていない。犠牲者の四十九日に当たる16日には、追悼祭ではなく中小企業・小商工人の商品販促行事に参加し、「酒が好きだから杯を買ったと言われるだろう」と冗談を述べ、野党から批判を受けた。
ある慶尚道選出の初当選議員は本紙に「惨事で悲しんでいる人々がいるのだから、哀悼の気持ちがあるのなら黙々と状況を見守るべきだ」と述べた。