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[社説]この世を去った梨泰院生存者…トラウマ増幅させる韓国政府と与党

登録:2022-12-16 06:38 修正:2022-12-16 08:53
14日夕方、ソウル龍山区緑莎坪駅の梨泰院広場に設けられた「10・29梨泰院惨事犠牲者合同焼香所」で、梨泰院惨事遺族たちが献花をしながら嗚咽している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 158人が犠牲になった「梨泰院(イテウォン)惨事」の生存者が12日、遺体で発見された。 遺書は発見されなかったが、惨事のトラウマに耐えきれず、自ら命を絶ったものと推定される。惨事の被害者たちの完全な回復と治癒のために、韓国社会が何をしたのかを振り返らなければならない時だ。それなのに韓国政府と与党ではむしろトラウマを増幅させる発言が相次いでいる。

 惨事のトラウマを克服するためには、社会的な支持が必要だと専門家たちは指摘する。社会的な支持に支えられてこそ、被害者が「一人ではない」と実感でき、孤立感から抜け出せる。しかし、残念なことに韓国社会には惨事の被害者を侮辱し、非難する声が依然として残っている。遺族と市民団体が設けた「梨泰院惨事犠牲者合同焼香所」の前で、極右団体のメンバーらが遺族に「自分たちの過ちのせいで死んだ」、「政治的に利用するな」などの暴言を浴びせたことが端的な例だ。共同体の一員として決して許されないことだ。自ら死を選んだ生存者も、惨事被害者を侮辱するコメントを見て苦しんでいたという。

 傷の癒すために尽力すべき政界が、かえって被害者に対する嫌悪を煽っていることはさらに許されない。与党「国民の力」のクォン・ソンドン議員は「梨泰院惨事遺族協議会」の発足を受け、「セウォル号のように政争で消費され、市民団体の横領の手段として悪用される可能性がある」と遺族たちを罵倒した。同党のソン・オンソク議員は、根拠もなく惨事の犠牲者と麻薬を関連付ける発言をして、遺族たちの激しい反発を買った。

 特にハン・ドクス国務総理は15日午前、政府ソウル庁舎で開かれた担当記者団との定例懇談会で、自ら命を絶った梨泰院生存者について「本人が心を強く持ち、治療を受ける意志がもっと強かったら良かったのではないかと思う」と述べた。「ワンストップ総合支援センターに自分の苦しみについて十分伝えていれば、もう少し積極的に支援できたのではないかと思う」とも語った。悲劇的な死の原因を被害者のせいにする非常に不適切な発言だ。

 クォン・ソンドン議員は遺族協議会に向かって「政争」と発言したが、実は惨事まで政争化して、遺族たちの傷に塩を塗っているのは国民の力の方だ。惨事に大きな責任があるイ・サンミン行政安全部長官の解任案が可決されたことを理由に国政調査をボイコットし、予算案処理を口実に国政調査を空転させたのは誰なのか。惨事に対する責任究明なしには完全な治癒は不可能であることを、国民の力は肝に銘じてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1071570.html韓国語原文入: 2022-12-15 19:23
訳H.J

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