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[現場]惨事から一週間、梨泰院…市民はこぶしで胸を叩いた

登録:2022-11-07 03:49 修正:2022-11-07 07:32
4日、ソウル龍山区の梨泰院駅1番出口前の惨事追悼場所を訪れた市民たちが、事故現場を見つめている/聯合ニュース

 地下鉄6号線の梨泰院(イテウォン)駅1番出口の周辺は、犠牲者を追悼する人々が置いて行った白い菊と色とりどりの付箋で幾重にも囲まれていた。国家公式哀悼期間の最終日の5日、多くの市民が梨泰院惨事の犠牲者の弔問に訪れた。

 週末のこの日、ソウル龍山区(ヨンサング)の緑莎坪(ノクサピョン)広場と中区(チュング)のソウル広場に設置された合同焼香所と梨泰院駅の追悼空間には、午前から多くの市民が訪れた。市民たちは焼香所と追悼空間で白い菊を献花したり、追悼の気持ちを記した付箋を地下鉄駅や道路などのあちこちに貼ったりしていた。

 平日とは異なり、家族で弔問に訪れた市民が目立った。1歳の子どもと緑莎坪の焼香所を訪れた龍山区住民のキム・ヒョンジさん(36)は「若い頃は梨泰院でよく集まったが、このようなことが起きて残念だ」と話した。黒い服を着て小学校1年生と5年生の子どもと追悼空間に献花したLさん(43)は「職場がこっちの方なのだが、通り過ぎるたびに胸が痛む。(子どもたちには)周囲の人たちや大変な目にあった人たちを慰められる人になってほしいという気持ちで一緒に来た」と話した。

 すでに成人している子どもたちと共にやって来る家族もあった。両親や妹と連れだってやって来たイ・スジンさん(37)も、「父が若くして亡くなった人たちにあいさつしたいと言ったので、家族で来た。惨事後は憂鬱だった。いつも通っていた道でこんなにも多くの人がこんな死に方をするというのが痛ましく、悲しかった」と話した。

市民がソウル地下鉄6号線の梨泰院駅1番出口の周辺に置いた菊と付箋。5日正午ごろ=ソ・ヘミ記者//ハンギョレ新聞社
5日午前、ソウル龍山区の緑莎坪合同焼香所。文学団体「詩山脈」の会員たちが弔問している=ソ・ヘミ記者//ハンギョレ新聞社

 団体も追悼に訪れた。文学団体「詩山脈」の13人の会員は、登山の前に緑莎坪の焼香所と梨泰院の追悼空間を訪れた。詩人のパク・スヒョンさん(70)は、「安全な国が作れなかったことについて、大人としてとても申し訳ない。対処も不十分だったが、惨事なのか事故なのか、謹弔なのかそうでないのかを問題にする政治を見て情けなくなる」と言って涙を流した。

 惨事が起きた時間帯に近くにいた市民も梨泰院に初めてやって来た市民も、犠牲者を見送るために梨泰院を訪れた。惨事当日に梨泰院で人と会う約束をしていたという会社員のMさん(27)は、「人が多すぎて、10時過ぎに緑莎坪駅の方へ抜け出したので惨事を免れることができた。幸いだと言うのも申し訳なくて来なければならないような気がした」と語った。梨泰院に来るのは今回が初めてだという大学生のイ・ユナさん(20)は、こぶしで胸を叩きながら「心が痛んだので来た」と言って言葉を詰まらせた。惨事が発生したハミルトンホテル横の路地を眺めていた市民たちは、なかなかその場を離れられずにいた。立冬を控えた風に菊の香りが漂っていた。

 ソウル中区のソウル広場に設けられた合同焼香所にも、市民が続々と犠牲者を追悼しにやって来た。5日午後1時ごろ、70人あまりの市民が菊の花を一輪ずつ持って並び、順番を待っていた。京畿道安山市(アンサンシ)から7歳の娘と追悼にやって来たチョ・スニョンさん(46)は、「セウォル号惨事の後も大きな変化がないみたいで、既成世代の一人として犠牲者に本当に申し訳ない。(警察や消防などには)災害に関する対応マニュアルがないわけでもなく、惨事を防ぐ方法がなかったわけでもないのに、それが実行できなかったためにこのような惨事が発生したということがとても残念だ」と述べた。

 この日、合同焼香所に追悼に訪れた市民たちは、梨泰院惨事についての政府関係者たちの無責任な発言に対しても怒りをあらわにした。夫と共にソウル広場の合同焼香所を訪れたチョン・ウォンギョンさん(29)は「今回の梨泰院惨事は『行政惨事』だと思う。責任逃れするイ・サンミン行政安全部長官、パク・ヒヨン龍山区長の発言を聞いて腹が立った。遺族を再び傷つけるもの」だと批判した。京畿道金浦市(キンポシ)から家族とソウル広場の合同焼香所を訪れたチュ・ソンホさん(45)も、「これまでの政府の対応を見ると、たいへん卑怯に感じられる。国の災害対応システムが完全に崩壊してしまっている中、誰かが無条件に謝罪し、無限責任を負うと言うべきなのに、惨事の主な責任者は全く口をつぐんでいる」と述べた。

5日午後、ソウル中区のソウル広場に設けられた「梨泰院惨事犠牲者合同焼香所」に追悼にやって来た市民が並んでいる=パク・チヨン記者//ハンギョレ新聞社
ソ・ヘミ、パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1065880.html韓国語原文入力:2022-11-05 14:59
訳D.K

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