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中国排除狙う「半導体同盟」に参加しても良いのか…悩み深まる韓国

登録:2022-07-21 06:36 修正:2022-08-03 10:45
尹錫悦大統領が5月20日午後、就任後に韓国を初めて訪問した米国のジョー・バイデン大統領と京畿道平沢のサムスン電子半導体工場を視察した後、演説している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が米国主導の半導体協力体「チップ(Chip)4」への参加を検討していると知られ、サムスン電子とSKハイニックスなど国内の半導体業界に不安が広がっている。韓国最大の半導体輸出市場であり、主要生産基地として浮上した中国を排除するものであり、国内の半導体産業の在り方が大きく揺れかねないと懸念している。専門家たちはもちろん政府内部でも「やむを得ない選択」という主張と「慎重であるべき」という意見に分かれている。

 大統領室は20日、関係省庁を中心に「チップ4」関連の立場を整理していると発表した。大統領室高官は本紙に「韓国ならではのデザインをする」とし、「私たちに利益になることが何なのか、またどのような点が役に立つのか、政府が参加した方が良いのか、それとも民間同士で進めるのが良いのかなど、いろいろな方向で議論が行われている状況」だと説明した。また別の高官は「韓国の国益に役立つ方向で、中国の懸念をよく考慮して決める」とし、米国が提示した期限(8月末)に合わせて参加の可否を決める方針を示唆した。産業通商資源部の関係者は「今まさに話を始めた段階」だとして、「省庁独自で決める事案ではない」と語った。これに先立ち、米国は中国の「半導体崛起」を牽制する目的で、今年3月に韓国、日本、台湾にチップ4を提案した。米国の半導体源泉技術、日本の半導体材料・部品、韓国と台湾の半導体製造能力を結合した「半導体サプライチェーン協力体制」作りを目指している。米国は最近、韓国政府に「チップ4について話し合う初の実務会議への出席の可否を8月末までに知らせてほしい」と要請した。

 国内の半導体メーカー各社は、チップ4が可視化する様子に困惑を隠せずにいる。米国など半導体強国と協力する部分には共感するが、中国との関係設定が問題だ。国内の半導体産業の対中国輸出入の割合は40%(香港を含む60%)に達する。中国との半導体交易量は昨年760億ドルで、10年前より3倍以上増えた。半導体メモリ世界1位と2位のサムスン電子とSKハイニックスの全体売上で、中国向け輸出が占める比重はそれぞれ30%を越える。

 最近になって需要だけでなく生産でも中国への依存度がかなり高まった。サムスン電子は中国の西安と蘇州に、SKハイニックスは無錫と重慶、大連にそれぞれ半導体工場を運営している。中国との関係がギクシャクすれば、輸出だけでなく生産も影響を受けざるを得ない構造だ。現代経済研究院は最近まとめた報告書で、「国内の半導体産業は中国を中心にASEANや台湾、米国、日本などと交易する構造だ。日本の輸出規制を経て、中国産の材料の輸入が増えるなど、中国依存度がさらに上昇した」と分析した。

 実際、中国はチップ4に対して敏感な反応を示し、牽制を強めている。中国外交部の趙立堅報道官は19日、「米国が経済問題を政治化している」と非難し、「(チップ4)関連当事者が客観的かつ公正な立場から、長期的な利益に役立つ方を選ぶことを望んでいる」と明らかにした。日本と台湾がチップ4同盟参加に積極的なことを考えると、まだ曖昧な態度を示している韓国を狙った圧力と言える。

 政府高官は中国政府のこのような態度について、「米国が(チップ4を通じて)明示的に中国排除を狙っているわけではない。中国が官営メディアを通じて過剰対応を示している。我々は半導体分野で米国だけでなく中国とも協力しなければならない」と述べた。

 専門家の間ではチップ4への参加が「やむを得ない選択」という見方もある。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「米国は多数の半導体源泉技術を保有しており、自国技術の統制で他国の半導体生産に影響を及ぼし得る。米国主導の半導体同盟に参加しなかった国は、最悪の場合、半導体生産が不可能になる可能性もある」と語った。韓国半導体ディスプレー技術学会のパク・ジェグン会長(漢陽大学融合電子工学部)は、「チップ4に加入しなければ、米国と日本から半導体装備と部品・材料などの供給を受けられない。サムスンとSK中国工場も装備がなければ生産できない」と指摘した。

 実際、SKハイニックスの中国の半導体メモリ工場は、米国の輸出統制が続けば、超微細工程に必要な露光装備(EUV)を持ち込めない可能性もある。半導体業界の関係者は「適切な時期に工程の高度化ができなければ、他のメモリメーカーとの競争で劣位に立たされる可能性がある」と語った。

 核心産業の在り方に関する綿密な検討と対策なしに米国主導の「脱中国ドライブ」に巻き込まれることに対する懸念の声もあがっている。ある半導体メーカーの役員は「チップ4などで米中の摩擦が激しくなり、半導体業者がやむを得ず対中国戦略の修正を迫られる状況が来るかもしれない」として「韓国企業が主導してきた半導体産業のグローバル分業構造に及ぼす影響を政府が綿密に検討するのが先」だと指摘した。SKグループのチェ・テウォン会長は最近の記者懇談会で「中国は良くも悪くもかなり大きな市場であるだけに、あきらめるというのは選択肢にない。できる限り引き続き経済的に協力し、発展と進展を遂げていくことが必要だ」と述べた。

 韓国政府内でも慎重論が出ている。イ・ジョンホ科学技術情報通信部長官は同日の記者懇談会で、「(チップ4への参加の可否は)国家利益に合致する方向で決めなければならない。今は半導体に限定された話ではあるが、問題状況が発生すれば他の産業にも影響を与えかねないため、慎重になる必要がある。どのような部分で韓国の役に立つかを冷徹に考えなければならない」と述べた。

キム・フェスン、キムヨンベ先任記者、キム・ミナ、チョン・インソン記者、北京/チェ・ヒョンジュン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1051704.html韓国語原文入力:2022-07-21 02:19
訳H.J

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