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世界銀行「1970年代のスタグフレーション再燃の可能性」警告

登録:2022-06-09 02:07 修正:2022-06-09 07:46
6日、トルコのイスタンブールの市場で、市民が買い物をしている。先月のトルコの消費者物価指数は前年同月に比べ73.5%の上昇=イスタンブール/新華・聯合ニュース

 世界銀行は、世界の経済成長率の予想値を引き下げるとともに、多くの国々が1970年代のようなスタグフレーション(景気低迷とインフレの同時発生)に陥りうると警告した。

 世界銀行は、7日(現地時間)に発表した報告書「世界経済見通し」で、今年の成長率の予想値を1月に予想したものより1.2ポイント低い2.9%と予想した。昨年の成長率は5.7%と推定されている。世界銀行は、2023年と2024年も世界の経済成長率は今年程度にとどまり、ほとんどの国で物価が目標水準をかなり上回ると予測した。

 同報告書は、世界経済が「微弱な成長とインフレ率上昇が長く続く期間」に入りつつある可能性があると診断した。その原因として、新型コロナウイルスが経済に与えた衝撃が完全に消え去っていない中での、ロシアのウクライナ侵攻にともなう商品価格の上昇などをあげた。世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は「ウクライナ戦争、(コロナによる)中国の封鎖、サプライチェーンへの支障、スタグフレーションの懸念が成長に打撃を与えている」とし、「多くの国々は、景気低迷を避けることは難しいだろう」と述べた。

 世界銀行は、インフレは先進経済圏と発展途上国の両方で持続すると予想した。またこのような状況のせいで、世界経済は1970年代に比肩するスタグフレーションに陥る可能性があるとの見通しを示した。そしてサプライチェーン障害、成長が低迷するとの展望、新興国経済の脆弱性が存在する中、インフレを抑制するために通貨政策を展開しなければならないという状況が1970年代と似ていると述べた。1970年には、中東産油国の石油供給制限と原油価格上昇が引き起こしたオイルショックとその派生効果によって景気が低迷し、物価の急騰が先進経済圏を中心に起こった。現在、米国の消費者物価上昇率はここ40年で最高の水準を示している。マルパス総裁は「平均を上回るインフレと平均を下回る成長が数年間続くとみられる」とし、「スタグフレーションに陥る危険性がかなりある」と述べた。

 しかし世界銀行は、当時に比べて今はドルの価値が強い一方、原油価格は相対的に低く、主要な金融機関が堅実なため、経済を調整する余地があるという点が異なると説明した。世界銀行は、当時のようなスタグフレーションを回避するためには、ウクライナに対する支援の組織化、石油と食品の価格の上昇への対応、開発途上国に対する債務調整を行うべきだと提案した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1046180.html韓国語原文入力:2022-06-08 15:35
訳D.K

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