韓国政府は早ければ今週中に、北朝鮮に対して新型コロナウイルスワクチンなどの医薬品の支援に向けた実務接触を公式に提案する方針だ。今月21日に行われる尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のジョー・バイデン大統領の初の韓米首脳会談でも、北朝鮮に医薬品などを援助する人道支援問題が議題にのぼるとみられる。
政府高官は15日、本紙に対し「今週中に北朝鮮にコロナワクチンなどの医薬品を援助するための実務接触を提案することを検討している」と述べた。統一部もこの日、「北朝鮮内のコロナウイルスの拡散状況、および迅速な対応の必要性などを考慮し、北朝鮮のコロナ防疫の努力に実質的に役立つよう、できるだけ早期に北朝鮮側に対してこれに関する提案を行う予定」と述べた。ただし統一部は、南北の実務接触を提案する時期については「具体的には確定していない」と付け加えた。接触についての議論は、クォン・ヨンセ統一部長官が16日ごろに就任すれば本格的に進められると予想される。
尹大統領は13日、北朝鮮のコロナ拡散状況に言及しつつ、北朝鮮の住民にワクチンをはじめとする医薬品を支援すると述べた。北朝鮮の「労働新聞」は15日、「4月末から14日18時現在までの全国的な有熱者(発熱症状の見られる人)の総数は82万620人、死者総数は42人」とコロナ感染状況を報道した。北朝鮮は12日から、感染遮断のために事実上全国を封鎖している。
実務接触の方式としては、南北連絡事務所の通信線を利用して電話通知文を発送するというものが有力だ。政府は、国際機関を通じた供与▽国連制裁免除品目の直接支援▽民間団体を利用した支援などを考えている。
政府は、コロナワクチンの援助が南北関係の行き詰まりを突破する契機となると期待している。しかし北朝鮮は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代も「防疫・保健協力提案」に反応していないことから、新政権の実務接触提案を受け入れるかは不透明だ。大統領室中枢の関係者は記者団に対し、「実務レベルでどのように協議するかは徐々に議論していく」とし、「今のところ、北朝鮮がそれをどのように受け入れるかを待っている状況だ」と述べた。
コロナワクチンの援助を含む北朝鮮に対する人道支援問題は、21日に予定される尹大統領と米国のバイデン大統領との初の韓米首脳会談でも主要議題として扱われる見通しだ。
大統領室の高官はこの日、「北朝鮮問題を扱えば、当然にも人道支援問題も取り上げられるだろう」とし、「どのレベルで具体的に話し合われるかは見守らなければならない。非核化の状況で人道的支援を行うというのは、韓米で意見の相違は全くない」と述べた。