田舎道を歩けば陽光を反射し輝くビニールハウスを随所で目にする。1950年代に米国で開発されたビニールハウス温室は、農作物を栽培できる時期を延長し、温度・湿度の調節で収穫量を増やすことで世界の食糧問題解決に大きく貢献してきた。温室が野原を白く覆ったことから、温室栽培が呼び起こした農作物増産効果を「白色革命」と呼んだりもする。
世界のビニールハウスはどの程度あるのか正確な統計はないが、中国の場合は農耕地の3%がビニールハウス栽培地との報道があった。総耕作地1億2800万ヘクタールのうち400万ヘクタールがビニールハウスで覆われているということだ。これは、ソウルの面積の約70倍に該当する。2025年までに200万ヘクタール規模の温室がさらにできるとの展望もある。
韓国もビニールハウス栽培の面積が5万1千ヘクタールあまり(2016年基準)に達する。中国と日本を含む東アジア地域と、スペイン・トルコをはじめとする地中海地域は、世界的に温室農業が最も活発な地域に分類される。
「プラスチック栽培」(plasticulture)という新しい農業方式として根付いたビニールハウスは、今や宇宙から眺めた写真でも鮮明に見える地球表面の一つの特徴になってしまった。
米航空宇宙局(NASA)が最近、地球観測衛星ランドサット8号が撮影したトルコのビニールハウス写真(上)を公開した。写真のトルコ南西部地域は、陽光を反射した白い温室の屋根で覆われている。この地域の温室栽培作物は主にトマト、唐辛子、キュウリだ。NASAによれば、トルコは世界4位の温室栽培国家で、その規模は772平方キロメートルに達する。
農作物の栽培に使われるプラスチックは温室のビニールだけではない。農作物を害虫や雑草から保護するために、畝に設置するビニールマルチもある。2020年のある中国科学者の研究によれば、ビニールマルチが占める中国の農地は全体の13%で、ビニールハウスの4倍に達する。
作物に収穫が終われば環境汚染源に
農作業に使われるビニールは、作物の収穫が終れば環境ゴミになる。使われたビニールはそのまま放置すれば、マイクロプラスチックに分解され、農地と川の水を汚染し、焼却すれば有毒物質を排出して大気を汚染する。マイクロプラスチックは、食物連鎖を通じて生態系を巡り巡って極地帯はもちろん人間の血液からも検出されたとの研究結果がある。栽培過程で農薬が付着するためリサイクルも難しい。
しかし、増える食糧需要はビニール需要をさらに増やしている。国連食料農業機構(FAO)の2021年の報告書によれば、農業用プラスチックに対する全世界の需要は2018年の610万トンから2030年には950万トンに、50%増える見通しだ。