韓国の製薬・バイオ企業が新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に拍車をかけている。セルトリオンや日東製薬などは年内の治療薬の商用化を目指して臨床試験を進めており、SKバイオサイエンスは鼻の中にスプレーする新型コロナ予防・治療スプレーの開発に着手した。
13日、製薬・バイオ業界の説明によると、日東製薬とセルトリオンはオミクロン株の治療薬の開発を加速している。開発が最も進んでいるのは日東製薬だ。昨年11月、日本の塩野義製薬と共同開発契約を結んだのに続き、最近食品医薬品安全処から後期第2相と第3相を分離して臨床試験を進めてもいいという許可を受けた。同社は国内承認を早く受けるため、このような方法を取った。現在、飲むコロナ治療薬の候補物質(S-217622)に対する臨床を延世大学江南セブランス病院、高麗大学安岩病院、梨花女子大学木洞病院など、24の医療機関で進めている。日本では塩野義製薬が臨床第2相の結果をもとに条件付き承認手続きに入ったが、動物実験中に副作用が報告され、活用度が低くなる恐れがあるという懸念もある。妊娠したウサギを対象にした実験中に胎児から異常反応が確認され、使用承認が出ても妊婦への使用が制限される可能性が高い。
日東製薬の飲む治療薬の候補物質は米ファイザーのパキロビッド(パクスロビド)と同じ抗ウイルス剤で、ウイルスの複製を防ぐ役割を果たす。ステルスオミクロンなどの変異株にも効果があるという。価格がパキロビッドの半分水準に策定されると見られ、注目を集めている。
セルトリオンはさまざまな変異株に効果を示す「吸入型カクテル新型コロナ治療薬」の条件付き承認を期待している。候補物質(CT-P63)の臨床第1相が完了し、ボスニアやセルビアなど欧州諸国にグローバル臨床第3相試験計画(IND)を提出した。セルトリオン側は年内に候補物質の緊急使用承認を受けることを目指している。
現代バイオが開発中の飲む新型コロナ抗ウイルス剤(CP-COV03)の臨床試験も急速に進んでいる。これは薬効の焦点をウイルスではなく、その宿主である細胞に合わせる「宿主標的」抗ウイルス剤だ。現代バイオは緊急使用承認申請のため、臨床参加者300人を対象に臨床第2相を統合して進める計画だ。臨床第2相の手続きは、国家臨床試験支援財団の臨床試験支援対象に選ばれ、研究者(PI)の連携と臨床参加者募集などの支援を受けられるようになった。
新型コロナへの再感染事例が増えている中、予防・治療薬の開発の動きも活発になっている。SKバイオサイエンスは同日、鼻の中に抗ウイルスタンパク質を噴射し、コロナウイルスなどの感染を防ぐ医薬品の開発に乗り出したと発表した。鼻の中に保護膜を形成し、ウイルスが体内に浸透するのを防ぐ原理で、治療効果も期待できる。SKバイオサイエンスが国際エイズワクチン推進構想(IAVI)や米ワシントン大学医学部抗原デザイン研究所(IPD)などと協力し、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から研究開発費の支援を受けて開発する方式で進められる。
スプレー型で常温保管が可能で、製造と流通が容易であり、一つの製品で何回も使用できるため、実用性が高いと評価されている。現在、SKバイオはIPDが研究開発中の候補物質の技術移転を受け、すでに初期工程の開発および研究に入った。商用化された場合、鼻の中に噴射するだけでウイルスを予防できるため、マスクに代わる先制的防疫策として注目されている。