ロシア軍が数百人の民間人を「集団虐殺」したという疑惑が浮上したウクライナ北部の都市ブチャの市長は「私たちは(この惨事を)絶対に許さない」と述べた。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領も惨事が確認された翌日に現場を訪れ、世界の指導者たちに向けて「この惨状を見るべきだ」と述べた。
ブチャ市のアナトリー・ペドルク市長は4日、米国CNNに出演し、「我々はここで発生した残虐行為について、ロシア人たちを許さない」と述べた。ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ検事総長は3日にフェイスブックで、ブチャを含むキーウ(キエフ)周辺の都市で民間人とみられる410体の遺体を発見し、1日から3日にかけて140体に対する調査を終えたと発表している。ブチャはロシア軍侵攻3日目の2月26日に同軍に占領されたため、この間ウクライナ側は接近できないでいた。
ペドルク市長はロシア軍によって殺害されたとみられる民間人について、「占領者によって無差別に殺害された。多くは高齢者だった」とし「我々はロシアの占領者がウラジーミル・プーチン大統領やセルゲイ・ショイグ国防相から『グリーンライト(実行許可)』を得ていたという印象を受ける。彼らはキーウを占領できなかったため、欲求不満をブチャや周辺地域に吐き出したのだ」と述べた。また同氏は、1カ月以上にわたるロシアによる占領によって「半分以上の都市が破壊された」としつつ「戦争から平時の生活に戻るため」非常に忙しいと語った。
一方、ゼレンスキー大統領も惨事が確認された翌日の4日にブチャを訪れた。防弾チョッキを着て現場を訪れたゼレンスキー大統領は「ウクライナがNATO加盟国になるべきかどうかをめぐって決定を下した主要国の中心的な指導者は、ここに来てこの惨状を見るべきだ。まさにこれこそロシアと戯れていた結末だ」と述べた。