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「ウクライナとロシア、休戦合意案で歩み寄り」…NATO放棄しEU加盟推進

登録:2022-03-30 02:32 修正:2022-03-30 08:09
ウクライナとロシアの交渉代表が休戦合意案の草案で歩み寄ったとされる28日、ウクライナ第2の都市ハリコフの市民が地下鉄駅の中に避難している=ハリコフ/EPA・聯合ニュース

 英国「フィナンシャル・タイムズ」の28日の報道によると、トルコで行われるウクライナとロシアの5回目の交渉を前に、両国は「ウクライナは欧州連合(EU)加盟を推進する一方、北大西洋条約機構(NATO)加盟は放棄する」との内容の休戦合意案で歩み寄った。しかし4回目の交渉直後の16日の「重要な進展」があったとする同紙の報道に対し、ロシアは「正確ではない」という立場を明らかにしており、最終結果を断定するのはまだ早い。

 同紙は、両国の交渉の状況について報告を受けた4人の消息筋の話を引用し、ウクライナが「NATO加盟を放棄」する対価として、これまで要求してきた「安全保障」と「EU加盟」を得ることを内容とする敵対行為中止案の草案が作成されたと報じた。ロシアが侵攻の目標として掲げてきた中立化、非武装化、非ナチ化のうち、中立化を中心とした妥協が成立したかたちだ。消息筋は、ロシアの要求する非ナチ化、非武装化、ウクライナ内でのロシア語使用に対する法的保護の3つは合意案に含まれていないと語った。

 ウクライナは、核兵器を開発しないこと、自国内の外国軍の駐留も認めないことを交渉案として検討している。その代わり「NATO加盟国が攻撃を受ければ他の加盟国が支援する」というNATO条約第5条と似た方式で安全の保障を受ける案が提示されたと同紙は伝えた。ウクライナはロシア、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、中国、イタリア、イスラエル、トルコなどの主要国から安全保障を受けるという方策を推進している。これらのどの国もまだ安全保障は約束していないが、拒否した国もないと関係者は語る。

 ウクライナの政権党のダビド・アラハミヤ代表らウクライナ側の交渉代表は、同紙に対し「すべての争点が初期から交渉のテーブル上にあり、多くの争点において意見の相違がまだ残っている」としつつも、安全保障やEU加盟推進などに関しては合意が近づいたと述べた。最終合意に至るまでに残されている多くの争点の中で、安全保障に関する問題では意見がまとまったという意味であると解釈される。

 したがって合意案の草案には、2014年以降にロシアが占領したクリミア半島などのウクライナ領土の問題は含まれていない。占領された領土をウクライナが放棄するかどうかは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の直接交渉を通じて解決すべく残されていると同紙は伝えた。

 ただしアラハミヤ代表は国境問題について「我々が独立を宣言する際に決定されたもの以外の国境は認めない」とし、譲歩は困難との立場を明らかにした。ウクライナのドミトロ・クレバ外相も交渉の過程で「ウクライナの国民、領土、主権は取り引きしない」と述べている。しかし「ロシアが真摯な交渉姿勢で臨み、バランスの取れた提案を示すなら、進展はありうる」と余地を残している。

 ロシアは今回も多少懐疑的な反応を示した。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は「交渉過程に悪影響を及ぼすため進展があるかどうかは言えず、言うつもりもない」としつつも「残念ながら、重大な進展があったり突破口が開けたりする状況ではない」と述べた。

 29日にトルコではじまる第5回交渉で両国が休戦に合意すれば、安全保障問題などに関する合意文を改めて作成するため、外相会談が行われる予定だと同紙は伝えた。しかし、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の会談に関する動きはないと同紙は付け加えた。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1036642.html韓国語原文入力:2022-03-29 11:09
訳D.K

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