米国のジョー・バイデン大統領が1日(現地時間)、就任後初の一般教書演説で、プーチン大統領を「独裁者」と呼び、「代償を払わなければならない」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる米ロ対立がさらに激しくなる様相だ。
バイデン大統領は上下院合同会議で行った一般教書演説で、「6日前、ロシアのウラジーミル・プーチンは自由な世界を彼の威嚇的なやり方に屈服させることができると考え、その基盤を揺るがそうとした」とし、「しかし彼はひどい誤算をした」と述べた。彼は「歴史を通じて私たちは独裁者に侵略の代償を払わせなければ、さらなる混乱を招くという教訓を得た」と述べた。プーチン大統領のウクライナ侵攻に断固とした対応を取ることを重ねて強調したのだ。
バイデン大統領は「独裁者」の行動を放置すれば「米国と世界に対する脅威とコストが増す」とし、「このため、第二次世界大戦後の欧州の平和と安定を保障するために北大西洋条約機構(NATO)が創設され、米国は他の29カ国とともにその一員となった」と述べた。
バイデン大統領は経済制裁がロシアに大きな苦痛を与えているとし、「自由世界は彼(プーチン大統領)に責任を問うているが、欧州連合(EU)の27の加盟国と英国、カナダ、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドその他の多くの国、さらにはスイスも参加している」と明らかにした。彼は「ロシアの独裁者が外国を侵攻し、全世界に被害を与えている」とし、戦争で世界経済が不安になったと強調した。
バイデン大統領は、「EUやカナダと同調し、米国もロシア航空機の領空通過を遮断する」とし、追加制裁も発表した。また、米法務省はタスクフォースを設置し、「暴力的政権下で数十億ドル(数億円)を詐取した」ロシアのオルガルヒ(新興財閥)についても調査を行う方針だ。彼は米国や欧州当局が、オルガルヒらが海外に保有しているヨットや自家用飛行機、高級住宅を追跡する方針だと明らかにした。
しかし、バイデン大統領は「米軍がウクライナでロシア軍と衝突することはない点を明確にしておく」とし、「米軍はウクライナで戦うために欧州へ行ったのではなく、NATO同盟を防御するために行った」と述べた。同時に、ウクライナには「軍事援助、経済援助、人道的援助」を引き続き行う意向も明らかにした。彼はNATO加盟国でないウクライナに米軍を派遣せず、同盟国と共に強力な対ロシア制裁に集中する方針を示してきた。
バイデン大統領は、米国の産業競争力の強化に触れ、中国に対する牽制の意志も明らかにした。「私は米国人に対抗する方に賭けるのは良い賭けではないと、習近平国家主席に言ってきた」と述べた。また「米国を変え、21世紀の競争で我々が勝利の道に進むためには、残りの世界、特に中国に立ち向かわなければならない」と強調した。
今回の演説では北朝鮮に対する言及はなかった。